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今月の話題:No.286

炭酸ガスの温室効果

気候は変わる

地球が生まれて約46億年、地球上では暖かかったり寒かったりという気候の変化がくり返されてきました。過去何回かあった大きな「生物の絶めつ」は、この気候の変化が大きな原因だと考えられています。 今から約6500万年前に恐竜が絶めつし、ほにゅう類の時代になりました。しばらくは、火山の活動などによって暖かい時期が続きました。

そして約200万年前からは寒い氷河期と暖かい間氷期がくり返されるようになりました。最も近い氷河期は今から18000〜20000年前で、氷河が発達し、富山で現在より気温が7〜8℃低かったといわれています。海面は現在よりかなり低く、大陸とは陸続きになっていました。 現在は氷河期と氷河期の間の、暖かい間氷期です。やがて寒い氷河期がやってくるかもしれません。一方では、特に1980年ころから世界的に気温が急に高くなっています。その原因として石油や石炭を燃やしたりするときに出る炭酸ガスが話題になっています。

過去16万年間の気温と炭酸ガスの変化を調べた資料によると、気温が高いときは炭酸ガスが多く、気温が低いときは炭酸ガスが少なかったことがわかっているのです。

温室効果

農家の人が野菜などを育てるために温室を使うことがあります。まわりをガラスなどで囲ってあるため、中の熱が逃げないので暖かくたもたれます。 太陽からやってきた光は地球の大気を通り、地面を暖めます。暖まった地面からは熱が赤外線という形で出てやがて宇宙へ出て行きます。ところで大気の中に炭酸ガスがたくさんあったらどうなるでしょう?太陽からの光は炭酸ガスがないときのように、地球の大気を通り、地面を暖めます。でも地面からの赤外線は、炭酸ガスによって一部が吸収されるのです。そして吸収されたものの一部が、地表に返されます。

温室効果のしくみ
温室効果の仕組み

これは地表の気温が上がることを意味しています。まるで地球全体に大きな温室を作ったような効果があるので、温室効果とよばれています。炭酸ガスの量がふえれば温室効果によって全地球規模で気温が上昇する可能性があるのです。

人類が石炭などを使わなかった1800年より前の時代は、炭酸ガスの量はおよそ280ppm (1ppmは1%の1/10000)でした。しかし、それ以降、特に第二次世界大戦が終わった後、急に増加しています。

炭酸ガスの量を長い間観測しているハワイでは、1959年には316ppmでしたが1998年には367ppmになり、40年間で約50ppm増えたことになります。日本の観測では1998年に年平均371ppmになっています。このままでは炭酸ガスは2100年の末には1800年以前の濃度280ppmの2倍になると考えられています。

そのとき気温は1.5〜4.5℃上昇すると予想されています。それは地球全体にいろいろな影響をおよぼします。たとえば日本などでは今までなかったマラリアなどの熱帯地域の病気がはやる可能性があります。また極地の氷がとけて海水面が上がるので、海に沈んでしまう島がでてくるでしょう。

そんなことが起こらないように炭酸ガスを減らす努力をしなければなりません。

ハワイでの炭酸ガスの変化のグラフ
ハワイでの炭酸ガスの変化(1959年〜1998年)

文:吉村博儀
発行:平成14年1月


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