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今月の話題:No.287

土星食

今年の3月20日(水)夕方の西の空で、半月少し前の月に土星が隠される土星食が見られます。富山では午後7時38分ごろ、約2分程度の時間をかけて徐々に、月の南端の近くの輝いていない部分に隠れていきます。そして約30分後8時8分ごろに、同じく約2分程度かけて、反対側の輝いている部分から出てきます。 

3月20日に土星と小惑星ベスタが月に隠される様子
2002年3月20日に、土星と小惑星ベスタが月に隠される様子

このところ土星食が多く起こっています。日本では、昨年の10月8日には氷見市から北の能登半島や新潟県、東北地方より北の地方で、また今年の1月25日は富山県の砺波地方から南や岐阜県、長野県南部、山梨県より南のところで、それぞれ土星が隠される様子が起こりました。しかし、いずれも富山では、月のぎりぎりのところを土星がかすめただけで土星食にはなりませんでした。前回、完全に土星が月に隠される土星食が見られたのは、1997年10月5日でしたので、今回は約4年半ぶりになります。 

2001年10月8日の土星食の写真
2001年10月8日に見られた、月の南をかすめていく土星食(3枚合成 撮影地:石川県能登島)

3月20日の土星の明るさは0等星ほどで明るく、また始めは土星が月の光っていない部分に隠れていきますので、双眼鏡などでも隠れていくところが観察できるでしょう。もちろん天体望遠鏡なら50〜100倍程度の倍率で観察すれば、輪をもった土星が徐々に月に近づき隠されていく様子が観察できます。しかし、終わりの時は月の明るい縁から出てくるので、月の明るさに比べて土星は暗く、少々見づらくなるでしょう。 

当日は、富山市天文台でも、土星食の特別観測会を行います。1m望遠鏡に付けたビデオカメラや小型の望遠鏡を使って土星が隠されていくところなどを観察・解説します。時間は午後7時30分から9時までです。 

さらに偶然にも、この日には土星のすぐそばに小惑星「ベスタ」がいます。ベスタは明るさが8等星ほどの暗い星ですが、望遠鏡では充分見ることが出来ます。このベスタが土星に引き続き午後7時55分ごろに月に隠れ、8時12分ごろに出てきますので、望遠鏡を使えば、隠されるところは充分観察できるでしょう。次回、富山の夜空で土星食が見られるのは、20年以上先の2024年12月8日の午後6時30分ごろまで待たなければなりません。この機会にぜひ天文台へおこ越しください。

文:布村克志
発行:平成14年2月


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