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今月の話題:No.289

国際宇宙ステーションと
日本の実験モジュール"きぼう"

建設が進む国際宇宙ステーション 

国際宇宙ステーションは、日本を含む16カ国が共同で行っている大プロジェクトです。2006年の完成をめざして着々と建設が進んでおり、完成するとその大きさはおよそ110メートル×80メートル、重さは約500トンという巨大なものです。 

地上400kmほどの宇宙にあって、約90分で地球を一周しています。2000年10月には若田光一さんがスペースシャトルでここへ行き建設作業を行いました。来年2003年の冬には、野口宇宙飛行士もここへ作業に行くことが予定されています。 

国際宇宙ステーション完成予想図
国際宇宙ステーション完成予想図(画像提供:NASA)

日本の実験モジュール"きぼう"

この宇宙ステーションには、「モジュール」と呼ばれる、筒形のものをつぎ足していくことができます。各国が目的に合わせてそれらを製作し、宇宙飛行士はその中で仕事をしたり生活をしたりします。上の写真で中央右のあたりに小さく十字型になっている部分などがそうです。

日本の造るモジュールは「きぼう」という名前で、ここではさまざまな実験が行われる予定です(下図)。例えば宇宙飛行士の向井千秋さんがスペースシャトルで宇宙へ行き、メダカを卵からかえして「宇宙メダカ」を誕生させましたが、宇宙で生き物がどのように生きていくのかを調べる実験をしたり、宇宙ステーションの中では重力がとても小さいので、地上では作れない特殊な物を作る実験をしたりします。

日本の実験モジュール「きぼう」
日本の実験モジュール「きぼう」(画像提供:宇宙開発事業団)

また「きぼう」には他の国のモジュールにはない特徴があります。「船外実験プラットフォーム」という、いろいろなものを宇宙に直接置ける所があることです。ここでは、宇宙がほとんど真空であることを利用した実験や、宇宙にある天体の観測、そして地球の観測などを行います。ここへ宇宙飛行士が装置を取替えに行くのはたいへんなので、「ロボットアーム」という機械の腕で装置の交換などを行います。

また先ごろ打ち上げに成功したH−IIAロケットを使って、宇宙ステーションに無人の貨物船を飛ばすことも計画されています。

H-IIAロケット2号機の打ち上げ
H-IIAロケット2号機の打ち上げ(画像提供:宇宙開発事業団)

日本以外の国も、宇宙で人間が生活するための実験や、宇宙での活動に必要な機械の開発など、たくさんの実験を行います。このような作業を積み重ねていくことで、今後期待される月面基地や火星旅行のための技術や知恵をたくわえていきます。

※「わくわく宇宙展 〜"きぼう"の世紀へ〜」を開催

2002年4月13日(土)から5月6日(月)まで、科学文化センターでは「わくわく宇宙展 〜"きぼう"の世紀へ〜」を開催しています。実験モジュール「きぼう」の内部の実物大模型などたくさんの展示物があり、また5月3日・4日にはイベント「宇宙まつり」を行いますのでぜひご来館下さい(詳しくは科学文化センターのホームページをご覧いただくか、科学文化センターまでお問い合わせください)。

文:林忠史
発行:平成14年4月


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