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今月の話題:No.292
夏休みには海に行くことも多いと思います。
砂浜に直径1-2cmほどの穴があいているのが見られますが、どんな生きものが穴をあけているのでしょうか。
砂浜のあな:どんな生きものがあけたのかな?
穴はスナガニがあけたものです。深さは50cmから1mにたっすることもあり、横に分かれ道があることもあります。そのほかに波うちぎわ付近などにもっと小さな穴がありますが、これはハマトビムシなど、ほかの甲殻類(エビの仲間)があけた穴です。
スナガニ(ほんとうの大きさは 3 cm くらい)
穴の入り口に直径5ミリくらいの砂のダンゴがたくさんあります。これはスナガニの食事のあとです。スナガニのおもな食べものは砂の表面についている目で見えないくらいの小さな植物です。小さい方のハサミですくって口に持っていき、口にあるたくさんのくちびるのようなもので上手にエサと砂をこしわけ、器用に食べては食べられない砂をダンゴにしてすてます。これが砂ダンゴの正体です。
スナガニは砂と同じ色をしている上に、すばやくてなかなかつかまえることができません。またスナガニは、夜に穴の外へ出ることが多いのですが、体の表面の色素がまとまり、透きとおっているようになり、電灯で照らすと、カニの陰だけがゆらゆら動き、本体がなかなか分かりにくいので、ユウレイガニとも呼ばれています。
スナガニをつかまえるには外を歩いているときにつかまえるほか、穴に潜んでいるスナガニを、穴を掘ってとる方法があります。スナガニの巣はやや湿った砂でできていますので、表面の乾いたサラサラの砂を中に落とすと穴にそって乾いた砂がたまり、穴を確認でき、居場所をつきとめることができます。
スナガニの巣
でも、水分やエサなど、スナガニを飼うのは難しいので、観察したあとは、できるだけ元の場所にのがしてあげましょう。どうしてもスナガニを飼うときは、生の魚や貝の切身やシラスなども食べますが、食べ残しがないよう注意が必要です。
スナガニがいるあたりには、他にハマトビムシ、ハマダンゴムシ、ハマベバエ、イソジムカデ、ハサミムシ、イソミミズなどの砂浜独特の生きのもが見られます。ほかにどんな生きものがいるか調べてみましょう。
富山市科学文化センター自然史展示室にある海のコーナーにもスナガニとその巣穴が展示してあります。砂浜のほかの生きものと比べてみましょう。
発行:平成14年7月