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今月の話題:No.300
ゾウとアリの体の形を見くらべてみましょう(図1)。ゾウは、体のわりに足が太いですが、アリは体のわりに足が細いですね。*1)
図1:同じ大きさで描いた、ゾウとアリ。
ゾウの足は太くて、アリの足は細い。
これにはわけがあるのです。
ここにブロックでできた動物がいます(図2)。形はそのままで体の長さが2倍になると、大きさ(体積)は8倍になるので、体重も8倍重くなります。ところが、足の太さは4倍にしかなっていません。重さ8倍の体重を、太さ4倍の足で支えています。
図2:ブロックでできた動物と、その2倍の体長の動物。
体の大きさと足の太さの関係は?
これは大変ですね。・・・体をきちんと支えるには、4倍よりずっと太い足でなければいけません。つまり、体が大きくなるほど、より太い足が必要になるのです。だから、体の大きい動物ほど、体のわりに足が太いのです。
では、ゾウが地球くらいの大きさだったらどうなるのでしょうか?
図3:丸い地球と、地球なみの大きさのゾウ?
本当は、ゾウはもっとまん丸になる。
地球はゾウに比べてとてつもなく大きいので、地球なみのゾウはとてつもなく太い足になりそうですね。ところが、今度は少し様子がちがいます。地球なみのゾウは、地球の上には立てません。もし立てたとしても、ゾウの重みで地球ごとつぶれてしまいます。
そこで、宇宙の中にゾウがぽっかり浮かんでいるとします(図3)。地球なみのゾウの表面では、地球上と同じくらいの重力が働きます*2)。そのときゾウの足はどのくらいの大きさなのでしょう?左の地球のオーストラリア大陸くらいの太さがありますね。そしてそれが大きくでっぱっているのです。とてもそんな形は支えきれません。足だけでなく、耳も鼻も、でっぱったところは全部支えられなくて、つぶれてしまい、結局まん丸になってしまいます。
ゾウでなくても、アリでも人でも人工衛星でも、地球くらいの大きさになると、全部丸い形になります。自分の形を支えられずに、自分の重みでつぶれてしまうからです。地球が丸いのも、こういうわけがあったのです。
このように、大きさと形には深い関係があるのです。
*1)注意深い人は気がついたかもしれませんが、ゾウの足は4本でアリの足は6本なので、アリの足の方が細いのは当たり前と思うかもしれません。でも、ゾウの足4本分の太さと、アリの足6本分の太さをまとめて比べてみれば、やっぱりゾウの足の方がずっと太いことには変わりませんね。
*2)これはニュートンの見つけた万有引力のためです。細かくいうと、引力の大きさは、ものの重さに関係します。
発行:平成15年3月