今月の話題(植物)
都市にすむアカミタンポポ
No.230
アカミタンポポとは
アカミタンポポ。あまり聞いたことのない名前ですね。アカミタンポポの名前の由来は、実の色が赤みを帯びていることです。“赤実タンポポ”と書きます。見分け方を、図で示します。特徴は、1.セイヨウタンポポと同じく、総苞片がそり返ること、2.らっかさん型をした実の色が赤茶色をしていること、3.葉っぱの切れ込みが深く細身であることです。
アカミタンポポがヨーロッパから日本に入ってきた時期は、明治時代の中頃で、セイヨウタンポポとほぼ同じ。つまり、外国から来たタンポポには、2種類あるということになります。
アカミタンポポの見分け方
1.まずそうほうへんを見ます。
セイヨウタンポポか
アカミミタンポポ
日本のタンポポ
2.らっかさん型の果実の色を見ます。
黄土色なら
セイヨウタンポポ
赤茶色なら
アカミミタンポポ
3.葉の形にも違いがあります
(時には、よく似ていて区別できないこともあります。)
コンクリートに接して生える
アカミタンポポが生えている場所について調べてみると、写真のようにコンクリートの隙間や、コンクリートに接した場所に生えていることが分かりました。公園の花壇などに生えているたくさんのタンポポでも、コンクリートのふちどりの部分には、アカミタンポポが生え、ふちから離れた部分には、セイヨウタンポポが生えるようです。生える場所の好みが両者では少し異なることが分かります。コンクリートは水に溶けるとアルカリ性を示すので、アカミタンポポはアルカリ性の土を好むのかもしれません。
都市化を示す植物
外来のタンポポが日本に入り込んできて以来、日本のタンポポは、すみかを追われつつあります。このような交替が起こる場所は、人が住んでいる街とその周辺に多いため、外来のタンポポが生えている場所は、都市化している場所であることを示します。
しかし、外来のタンポポには2種類ありますから注意が必要です。少し前までは、セイヨウタンポポが生えている場所を調べることで都市化している場所を知ることができましたが、今ではセイヨウタンポポも農村部にまで広がってしまい、「都市化を示す植物」として使うのは不適当になってきました。この点アカミタンポポは、今も都市のコンクリートに寄り添って生えているので、こちらの方が都市化の進んでいる場所を知るためには適していると考えられます。
(太田道人)
1997.05.01
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