今月の話題 ****************************************************** No.259 

(かき)

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 秋は赤くしたがおいしい季節です。その柿には、とシブ柿があります。甘柿とシブ柿を外見から見分けることはむずかしく、わからずに食べて、「しぶい!」という思いをしたことはありませんか?

 目で見分ける方法としては、い柿には割ると果実全体にかっ色のがあります。しかし、かっ色の斑点があっても、まだしぶみが残っているものもありますので、目安として考えましょう。また、後で話すシブ柿を甘くしたものは、甘くても斑点がない場合もあります。

 柿の木は、富山では庭でもよく見られますが、北海道では寒さのために栽培できません。シブ柿は青森県まで、甘柿は山形県、宮城県までが限界になります。野生の柿はもともとはシブ柿だけで、中国からわたってきた後、日本でシブ柿から甘柿がででき、それを人が増やしたといわれています。しかし、中国でも甘い柿が見つかり、甘い柿のふるさとははっきりしません。

しぶいもとはタンニン

 シブ柿のいつまでもに残るしぶみのもとは、タンニンの一種のシブオールというものです。色づいてきてもかたい時はまだしぶいシブ柿も、完全に熟してやわらかくなると甘くなります。しかし甘くなったのは、タンニンがなくなってしまったからではありません。熟していく間にできるアセトアルデヒドという物質がタンニン同士をくっつけて、タンニンが口の中で溶けなくなるからです。

 甘柿では、アセトアルデヒドがシブ柿よりも早くにできるので、実が固いうちにしぶみが抜けます。最初の方で出てきた甘柿の実のかっ色の斑点は、とけなくなったタンニンがかたまっている部分です。

 柿はタンニンのしぶさを利用して、種子がな時には食べられないようにしていると考えられています。その後、熟して甘くなったら、果実を食べにくる動物に遠くへ運んでもらうのでしょう。

シブ柿を甘くする

 完全に熟すまで待つほかに、シブ柿のしぶみを抜くいくつかの方法があります。シブ柿を手にしたら、自分で甘くしてみるのは楽しいものです。

 よく知られているのは、した寒い所に干す、干し柿です。皮をむいて、雨の当たらないに干すと、1ヶ月程で水分がぬけてしぼんだ柿の実から白い粉がうき出てきます。こうなれば、しぶみは抜けて甘い干し柿になっています。白い粉はブドウで、これはとても甘いものです。

 簡単な方法には、ナイロン袋に入れて、一晩お風呂の残り湯につけておくという方法があります。また、柿のがくの部分にやアルコールをつけてビニール袋に密閉して数日置いておく方法、ドライアイスを利用して、発生するに満たされるようにして数日置く方法もあります。

 どの方法も、柿の実の呼吸をさまたげるとできるアセトアルデヒドを利用して、タンニンを溶けないように変えています。

シブ柿からしぶみが抜けると、甘柿よりも甘くなりますね。柿のふるさとであると考えられる中国では、シブ柿を甘くした柿が広く食べられています。(坂井奈緒子)

 


                           

                     平成11101