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太陽以外の星の惑星の検出

太陽以外の星の惑星を探す試みは1995年にペガスス座51番星のすぐ近くに木星程度の質量の星が発見されたのを契機にぞくぞく発見され、現在100星以上の惑星が確認されている。
方法
惑星の光を直接捉えるのではなく、恒星のふらつきを観測する間接的な方法が使用されている。恒星の近くに大質量の惑星があると、惑星の影響を受けて、恒星は周期的にふらつく。そのふらつきを実際に観測する事は不可能だが、近づいたり、遠ざかったりする様子を観測する事ができる。救急車が近づいた時に音が高くなり、遠ざかる時に音が低くなる現象をドップラー効果と呼ぶが、それは光にも当てはまる。そのドップラー効果で恒星が近づいたり、遠ざかったりするわずかな変化の様子を捉え、惑星を検出する方法をドップラー法と呼んでいる。このような精密な測定には「ヨードセル法」と呼ばれる「ヨウ素分子ガス」を基準の値として使う方法が採用されている。
初の惑星の発見
ドップラー法は1980年代初頭から行われていたが、スイスのMayorらが1995年にペガスス座51番星に木星の半分ほどの質量の星が恒星から0.05天文単位(約750万km:水星と太陽の距離の約1/8の距離)離れた所にあることがわかった。この惑星は恒星の回りを4.2日で回っている。この観測はすぐに確認され、翌年、彼らのグループはこの星と同じような惑星をもつ星をいくつか発見した。このように太陽のすぐ近くにある木星くらいの大きさの惑星は「ホット ジュピター」と呼ばれている。
ホットジュピター
「ホット ジュピター」は円軌道でなく、長細い楕円軌道である事が多い。一般に、木星のような大きな惑星は太陽のすぐ近くで誕生する事はできないと考えられている。楕円軌道である事から、このような惑星は誕生してから何らかの原因で、軌道が乱されて、内側に移動してきたのではないかと考えられている。
「Nature」2003年3/13号によると、HD209458にある惑星は質量と大きさは木星程度のガス惑星であると考えられているが、距離は木星と太陽の距離の1/100しかない。そのため、この惑星は大気の表面が剥ぎ取られ、広がった水素の大気がこの惑星を取り巻いている。いずれ、徐々に質量を失っていく運命と考えられている。
二つの惑星をもつ恒星の発見
2002年3月、アメリカのMarcyらのグループはホットジュピター型の惑星のある、かに座55番星に二つ目の惑星を発見した。この惑星は恒星からの距離は5.5天文単位で、木星の数倍の質量をもち、円軌道をもつ大型惑星である。これ以来、二つの惑星をもつ恒星が他にも発見されている。
参考文献
  • 特集◆系外惑星観測の新世紀,天文月報2003年4月号
  • A.Vidal-Madjar他,an extended upper atmosphere around the extrasolar planet HD209458b,「Nature」2003年3/13号
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