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2002年のしし座流星群の見えかた


しし座流星群は毎年11月18日付近によく見ることができます。2001年には日本でたくさんの流れ星が流れ、大変騒がれました。その時は何と1分間に30数個、1時間に換算すると2000個もの流れ星を見る事ができたのです。その時の様子が上の写真です。中央から放射状に見える線が流れ星で、右上にあがっている線は星です。

しかし、残念な事に今年は日本でこのようなたくさんの流星を見る事はできないようです。というのは最も流星が流れる時は日本では昼であったり、たとえ夜でも、地球自身がじゃまをして流星がみえない時刻になるからです。さらに、今年はこの頃は満月で、流星自体も決して見やすくはありません。

色々な条件を考えますと、今年の日本でのしし座流星群の見頃は以下のようになります。


見頃 方角 1時間の流星数 注目すべき事
11月18日(月)未明

11月19日(火)未明
東の空高く 0個〜数個 余り多くは出現しない
11月19日(火)
午後11時以降しばらく
東を中心に
南の方角や
北の方角
の低い所
0個〜数個 横に走る経路の長い
流れ星が見られる
かもしれない



イギリスのアーマー天文台のアッシャー博士はしし座流星群の元となる彗星から放出されたダスト(チリ)がどのように広がっているかを研究しました。それによると、彗星が太陽のまわりを回る周期(33.2年)と彗星の運動に影響を与える木星の周期(11.86年)がちょうど5:14という整数の関係にあることがわかりました。

整数の関係にあると、軌道は安定し、ダストも拡散しにくくなります。一方、ダストは彗星の進む方向には拡散していきますので、ダストはそのうちに楕円形のチューブのように、太陽の周りをまわることになります。これをダストトレイルと呼んでいます。彗星が33年毎に太陽に接近するたびにダストトレイルが作られ、地球がそのダストトレイルに接近すると、たくさんの流れ星が流れることになります。

アッシャー博士はこのダストトレイルがどのような軌道を描くかを詳しく計算し、下の表のような流星数の出現数ピークの予報を発表しました。なお、流星数は理想的な条件での値で、日本での美しい空の下の場合でも、輻射点が天頂にあるという条件を満たしていませんので、たとえ予報があたっても、実際の流星数はこの数値の1/3〜半分だと思ってください。

アッシャー博士の予報は1999年、2000年、2001年の出現時刻のピークの予報と実際のピークがかなり合っています。ただ、流星群の予報は外れる場合もあるので、本当に見えるかどうかは、その時になってみないとわかりません。皆さんの眼でお確かめいただければ幸いです。もし、どうしてもたくさんの流れ星を見たい方は北アメリカに行かれる事をお勧めします。

出現数のピーク トレイル生成年 理想的な場所での
1時間あたりの予想出現数
備考
11月19日12時56分 1767年 約1000個 日本では見えない
11月19日19時34分 1866年 約6,000個 日本では見えない




富山市科学博物館富山市天文台
作成 2002
最終更新日 2007-07-12
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