アキグミの林を歩いていて、ちょっと不思議なことに気がつきました。それぞれの木がだいたい等しい間隔で生えていることと、芽生えがまったく見あたらないことです。毎年親の木からは、地面に真っ赤になるほどたくさんの実が落ちます。落ちた実からは、春にたくさんの芽が出てきて、足の踏み場もないくらいになるのではと心配になるのですが、それが全然出ないのです。
タネがおかしいのかなと思って発芽試験をしてみると、20%ぐらいですがちゃんと発芽します。(グラフの上から3番目の線)。初冬のアキグミ林内の石の上には、この実をたくさん食べたとみえる、鳥の赤いフンがたくさんついています(図-7)。付近にはツグミという鳥をよく見かけます。さてはツグミに食べられてしまってタネが発芽しなくなっているのではと思い、このフンにふくまれていたタネをまいてみました(グラフの上から2番目の線)。すると予想とは逆にたいへんよく発芽します。これは果肉をとりのぞいたものの発芽率(グラフのいちばん上の線)に近いことがわかりました。赤い果肉がついていると発芽が妨げられることがわかります。つまり、木から落ちただけの実からは、発芽しにくいということです。
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図7
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