富山県のイノシシついて
イノシシってってどんな動物?
分布
鯨偶蹄目イノシシ科に属する動物で、日本国内では北海道を除く、本州、四国、九州から琉球列島荷生息します。またユーラシア大陸からインド亜大陸、ヨーロッパ諸国まで広く生息しています。国内のイノシシは本州、四国、九州に暮らすのはニホンイノシシ、琉球列島に暮らすのはリュウキュウイノシシと固有亜種に分かれています。富山県に住むのはニホンイノシシです。現在、本来は生息しないはずのアメリカ大陸やオーストラリア大陸にも広く生息が確認されており、これは人為的に持ち込まれて野生化した外来種です。
イノシシの特徴
正面を向いた大きな鼻が特徴です。嗅覚が鋭く、鼻を含めた頭を動かす首の筋肉が大きく発達しているため、鼻を使って土壌をほったり岩をどかしたりすることができます。犬歯が発達し牙状になっており、特にオスは大きくなります。オスとメスで体の大きさに明確な差があり、オスのほうが体は大きくなります。オスは成獣で100kgほど、メスは成獣で60kgほどです。オスで最大200kgになることもあります。
イノシシの食性
植物の果実(堅果類(ドングリ類)を含む)、種子、葉、新芽、花、樹皮、冬芽、根などの植物や土壌昆虫、ミミズ類、カエルやトカゲ、ネズミ、ヘビなども食べる雑食性です。ときには牧草やイネなども食べます。
一度は県内からいなくなったイノシシ
富山県内では縄文時代の小竹貝塚から骨が出土するなど古くから生息しており、江戸時代や明治時代までは狩猟記録も頻繁にありました。しかし、その後の大正時代1923年頃から昭和の1980年代まではわずかに4例(1961年3月10日富山市猪谷、1962年2月富山市山田若土、1977年1月26日砺波市、1979年7月14日南砺市城端)の捕獲記録があるのみで、県内ではほぼ生息していなかったと考えられています。これは戦前~戦後の食糧難での捕獲や豪雪による頭数減少など、複数の要因が考えられています。
急増するイノシシ
1990年代に入ると状況は一変します。1995年に県内で2頭が捕獲されたのを皮切りに富山県と隣接する岐阜、石川、新潟の各県境周辺から確認頭数が急激に増加しました。2008年には県内捕獲数が127頭、5年後の2013年には1,015頭、その5年後の2018年には5,959頭で、ピークの2019年には6,172頭が捕獲されています。令和3年度に過去12年間の捕獲頭数から計算した富山県内の推定個体数は約10,000~20,000頭(階層ベイズ法※による推定)となっています。隣接県からの侵入については、県内で捕獲されたイノシシのmtDNAの遺伝子型により推定され、ほぼ同時期に東の新潟県、南の岐阜県、西の石川県の3方向から侵入してきたと考えられています。
※階層ベイズ法:モニタリング結果や捕獲効率などのデータを収集・蓄積し、全ての データに最も合理的にあてはまる個体数を推定する統計手法です。