化石もとに”日本一”復元
ナウマンゾウの模型 (第1回)



  
   
   氷河時代を生き抜いたナウマンゾウの生態模型
   
 科学文化センターに入って最初に目に付くのは、頭が天井に着くかと思われるような大きな象(ナウマンゾウ)の生体模型だ。高さが3.35m。科学文化センターのシンボルともいえる一階ロビーの展示物だ。

 科学文化センター開館の1年前(昭和53年12月)、大沢野町長川原の土石採集現場で、臼歯が発見されたのに続いて骨片など合計12個のナウマンゾウの化石が発見された。富山大学の藤井昭二教授を中心とするグループの研究が昭和55年の科学文化センター研究報告に発表された。そんな折、富山市内の会社から寄付があり、センターの展示物を追加できることになった。我々は、迷わずナウマンゾウの生体模型をロビーに置きたいと考えた。

 ナウマンゾウに関しては、日本各地の発掘調査によってかなり研究が進み、いくつかの博物館にナウマンゾウの生体模型があった。しかし、それらと違った最新の研究成果を盛り込んだ斬新なものにしたかった。「本来南方系の象であっても、日本各地で最も寒かった氷河時代を生き抜いたことから考えて、体の表面はフサフサした毛で覆われていただろう。雄として考えられる最も大きなものを作ろう」「生きていた時のように眼を光らせよう」と考え、京都大学の亀井節夫教授の指導を受けながら昭和59年3月、最新の成果を盛り込んだ日本一の復元が完成した。約1万5千年前まで、こんな象が富山を含めての日本中にいたのだ。そんな臨場感が伝わってくる。

 多くの入館者は一目見た瞬間「マンモスだ!」と叫ぶ。どこにも負けないナウマンゾウ。展示物とともにラベルの説明もじっくり呼んでいただきたい。(赤羽久忠.2000.4.3掲載)




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