DNA分析で新種と判明
マリモの研究A (第43回)



  
   
   阿寒湖の湖岸に打ち上げられたマリモ
   
 マリモに関するなぞが解け始めた。北海道阿寒町教育委員会の若菜勇学芸員が今から四、五年前、金沢大学理学部の植田邦彦教授のもとへマリモを持ち込みDNA分析を行った。研究は植田教授と学生が引き継ぎ、若菜さんのグループが採取してきたさまざまな湖沼のマリモが分析にかけられた。

 当時、形状などからマリモの仲間は、マリモ(阿寒湖のものやタテヤママリモ)、フジマリモ(山梨県の山中湖、河口湖、西湖、青森県の小川原湖沼群)、ヒメマリモ(青森県の左京沼)、トロマリモ(釧路湿原内の塘路湖)などに分類されていた。しかし分析の結果、阿寒湖のマリモと同じと考えられていたタテヤママリモは、マリモの仲間ではあるが、阿寒湖のマリモとは全く別の新種であり、逆に違う種と考えられていたフジマリモやヒメマリモ、トロマリモはすべて阿寒湖のマリモと同じであることが分かった。ほんの4年ほど前のことであった

 また、若菜さんの培養実験で、阿寒湖のマリモは多少の塩分を好み、タテヤママリモは逆に完全な淡水を好むことも判明した

 その後、タテヤママリモは立山町のほか県佐野市、兵庫県上郡町、福岡市の湧水帯や用水にいることが分かった。琵琶湖北岸の比較的浅い場所でもタテヤママリモが発見され、その場所よりやや深いところでは阿寒湖のマリモの生育が確認された。タテヤママリモと比べると阿寒湖のマリモはより暗い環境に生育できるということで、琵琶湖の観察例はまさにそれにぴったりであった。

 さらに、北海道稚内近くのオホーツク海沿岸の湖沼に生育するマリモがDNA分析によりタテヤママリモだと分かった。この湖は縄文期には海だった場所が海から切り離され湖として残った海跡湖である。淡水を好むタテヤママリモがどうしてほんの数千年前まで海だった場所にいるのか、また新たななぞが生まれた。 (朴木英治 2000年6月7日掲載)




 この文章の著作権は北日本新聞社にあります。富山市科学文化センターは使用権を取得し、ここに掲載しております。無断転載を禁止します。