体験教室を共同で開催
早稲田大と連携 (第91回)



  
   
   早稲田大学と共同で実施した行事
   
 科学を好きになってもらう上で、科学博物館が果たす役割はますます大きくなり、力をつけることが必要となってきた。そのような中、文部省の呼びかけで一九九七年からいくつものプロジェクトがスタートした。科学文化センターはその一つ、「青少年科学系博物館・早稲田大学ネットワーク推進協議会」に参加することとなった。

 子供達の科学離れを防ぐため、いくつかの科学博物館や大学が連携し、それぞれの特徴を生かしながら楽しい科学教室を共同開催するとともに、新たな実験装置などの開発を目指すのが目的だ。

 大学の専門的知識に裏付けられた先進的な体験教室を学ぶことができる。さらに一緒に参加した釧路市青少年科学館と帯広市児童館青少年科学館からも学ぶことができるが、科学博物館同士はそれぞれ性格、歴史、運営方針、地域の事情が異なる。互いの得意分野を披露しながら体験教室を一緒に開くことは得るものが大きかった。

 事業の一環として昨年十月、東京、富山、北海道から沖縄の玉城村に出向いて実験教室を開いた。富山市科学文化センターは現地の子供たちを対象に「雪と氷の不思議」と「土の中の小さな虫」に関する実験教室を行い、早稲田大学は「ぴかぴか光る電子回路工作」を担当した。「雪」の実験は石坂雅昭元学芸員が中心になった。

 「虫」は早稲田大学で生物学を教える土壌動物の専門家寺田美奈子先生と私が担当した。当日は子供たちに装置で土壌動物の抽出をしてもらったたが、子供たちは出てくる虫に興味を持ち、とてもにぎやかだった。寺田博士のように最先端の研究をしている人から直接指導を受ける機会は貴重で子供たちも一生懸命。私も先生の指導を見て多くを学ぶことができた。

 プロジェクトは終わったが、博物館と大学が連携を深め、各博物館がさらに個性を発揮していくことが必要だと実感させられた事業だった。(布村昇 2000年8月23日掲載)




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