目を輝かせる子供たち
標本名を調べる会 (第99回)



  
   
   標本の名前を調べる会で質問する子供たち
   
 先日の夏休みの最期の日曜日、恒例の標本の名前を調べる会を開いたところ、約百名が訪れた。

 この行事も開館以来二十回目を迎えたが、毎年熱気が感じられる。自分の採ったものは何という名前なのか。自分で調べた結果と一致すると喜び、違っていると驚く子供たち。生物ならその生態、化石なら地層のできた頃の話、標本の作り方などを話すと、子供たちの目が輝く。興味津々なのだ。子供たちが歓声を上げ、目をかがやかせるているのを見るのは、博物館に勤める者にとってもっとも幸せを感じるときである。

 今年も「富山で初めて見つかった」というような大発見こそなかったが、子供たちにとって初めて接したものが多く、大発見なのだ。われわれは、これをきっかけに自然や科学に対する関心を深めてほしいと願っている。

 常連もいる。高岡市の中学生、M君は小学校に入ったとき、貝に興味を持ち、以来毎年この会に訪れている。採取した貝の量・質ともたいへんなものであり、本人の知識も豊富で、こちらも戦々恐々だ。でも、このような子供が育つことはたいへんうれしい。

 特に子供たちは感受性が強く、それぞれの時期に応じて、いろいろのことに熱心に興味を示す。タイミングいい出合いがあると、子供はとてつもないエネルギーを発揮する。大人になると失ってしまうような見方、感じ方ができ、これが、創造的な活動につながるではないかと思われる。このようなものが、今後の日本にとって、人類にとってきわめて重要となるかもしれない。

 最近は建設省などで河川の水辺の国勢調査という生物相調査が全国的に行われている。また、東京 最近は、自然の中でさまざまな体験をしたり、疑問をとことん追及する姿勢が薄れてきている。科学文化センターは科学の面白さや自然の奥深さを実感していただく機会を作ることが重要と考え、展示を企画し、催し物も数多く行ってきた。展示や催し物にどしどし参加していただきたい。(布村昇 2000年9月1日掲載)




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