時には奇怪な生き物も
質問コーナー (第5回)



  
   
   さまざまな質問が持ち込まれるコーナー
   
 科学文化センター1階奥に質問コーナーがある。いつでも自然科学についての質問を受け付けている。

 このコーナーに昨年夏、一見ナメクジに似ているが、伸びると四十センチにもなる怪奇な動物が持ち込まれた。富山市の民家の庭先で見つかったのだが、「気持ち悪い。何だろうか」という質問を受けた。専門の学芸員が不在だったため、いったん預かることになった。

 その生き物はへん形動物に属し、ナメクジよりもプラナリアの仲間に近いオオミスジコウガイビルであった。体の腹面中央に口があるが、これは肛門との兼用になっている。目も百個前後が散らばってあるという変わりものだ。東南アジアからの帰化種とみられ、一九六八年にはじめて国内で確認されているが、県内では初めての発見だった。園芸用の土に混じって県内に入ってきたらしい。質問者にはこのことを専門の学芸員から電話で回答させてもらった。

 春から秋は動植物の質問が多い。夏休みには宿題を持った親子が多く訪れ工作、天気などの質問が増える。秋はキノコがよく持ちこまれる。すい星や流星群の頃には、天文の質問が殺到する。時には、UFOらしきものを見たという電話まである。質問は季節に合わせて変わり、そのことで季節感を味わう。

 質問には個別に答えるのでかなりの時間をかけている。質問コーナーを利用する人、自然科学の質問の電話は毎年1200−1300件もあり、こちらが気付かなかったこと、知らなかったこと、ためになることや面白いものも少なくない。質問に答えるために資料を探したり、調べたりする。答えられることが少しずつ増えていく。質問は、学芸員を育てるといえよう。

 このコーナーには書籍や図鑑が置いてあり、自由に見てもらえるようになっている。質問への回答は、担当分野の者が不在のこともあるので、先に電話で連絡があるとありがたい。 (坂井奈緒子,2000.4.117掲載)




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