下水道整備で改善進む
いたち川の水 (第17回)



  
   
   水質が改善し、よみがえったいたち川
   
 いたち川は、富山市の中心街を流れている川で、作家宮本輝の「蛍川」の舞台になった川であるが、富山市以外の人には桜の名所、松川の本流と言った方が理解しやすいだろう

 松川やいたち川のような市街地や住宅地を流れる川は、人の生活の影響をたいへん受けやすい。

 1970年ごろのいたち川水系の水質は生活排水や下流にある工場地帯から流入する工場排水で汚れ、場所によっては魚もすめないような状況であった。

 1986年に第一回のいたち川調査を行ったきっかけは市街地のあたりにアユがいたことであった。このとき既に下水道整備や工場排水規制の効果が現れていたのである。この調査からほぼ10年が経過した1995年から97年にかけて二回目の調査を行った。水質は前回よりもさらに良くなっており、一部の生物にも水質改善の効果が現れていた。

 一回目の調査では、。山の渓流水と同程度にきれいな馬瀬口の起点から市街地に差しかかるまでは水質の汚濁が進行せず、市街地では徐々に汚濁が進んで、現在の富山赤十字病院近くの四ツ屋橋ではアユがぎりぎりすめる程度のちょっと汚れた水質となっていた。

 二回目の調査では、上流部に住宅が増えてきた結果、汚濁が若干進行していた。しかし、下水道整備がさらに進んだ市街地ではほとんど汚濁が進まず、四ツ屋橋付近でもアユが楽にすむことのできるきれいな水質であった。

ただ、いたち川の水にはいつも若干の濁りがあり、川底に空き缶やごみが所々で見られる。数値上のきれいさと見かけにギャップが生じているのは残念なことである。

 調査で分かった水質や生物の特徴は、科学文化センター理工展示室の「水と環境」コーナーにある「いたち川の自然」で調べることが出きる。(朴木英治 2000年4月26日掲載)




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