在宅の学習に高い関心
気象教室 (第19回)



  
   
   気象教室で使っている教材の一部
   
 科学文化センターでは気象の教室を年間十回開催している。そのうちの四回は夏休みの子どもたちを対象にした行事で、毎年たくさんの参加申し込みがあり、同じ行事を午前と午後の二回に別けて行うこともたびたびである。

 残りの六回は、一般の人を対象にした「天気を学ぶ」という教室で、「蜃気楼」、「低気圧」、「集中豪雨」、「台風」、「異常気象」、「大雪」をテーマにして開催している。昼間仕事で行事になかなか参加できない人でも利用できるようにと金曜日の午後七時からという時間帯で行っている。

 始めてから三年、資料はなるべく最新のものを、進め方はなるべく型にはまらないようにという方針で行ってきた。例えば一昨年九月二十四日の台風の教室では二十二日の夜に富山を通過した台風七号の誕生から消滅までの経路を追いながら、海水温分布図、気象衛星画像、アメダスデータなどを使って台風発生のメカニズムなどを学習した。  また始めの頃はOHPを使って話を進めていたが、それをプレゼンテーションソフトとビデオプロジェクターの組み合わせに変えた。このことによってより視覚にうったえることができるようになったと思える。

 気象に関心のある人が少ないのでは、いろいろな世代の人に関心を持ってもらえるにはどうしたらいいのか悩んでいた時、インターネットを通して在宅で「異常気象」をテーマにした学習を行うという話が出てきた。参加者を募集したところ若い人から高齢者まで定員をはるかにこえるたくさんの応募があった。

 気象に興味のある人が少ないのではなく好きな時に自分の家で自由に学べるのなら学びたいという人が多くいることがわかったのである。

 こういう方面から教室のあり方を考える必要もあると思っている。また教室は「学ぶ」だけに終わりがちだが、これからは「学んだことを活かす」方向も模索したいと思っている。(吉村博儀,2000.4.28掲載)  




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