![]() | 動く恐竜 (第26回) |
自然史展示室に入っていくと、「ガオー」「ガオー」と二、三回やられる。これは侵入者に対する威嚇である。しかし、静かに近づくと、それ以上脅されはしない。逆に、手元のセンサーに手をかざし「富山のアロ君!」と声をかけるとゴロゴロと猫撫で声(?)を出して顔を近づけてくる。これで、恐竜と友達になったわけだ。ぜひ声をかけてほしい。 アロ君展示のきっかけは、一九九〇年、後藤道治学芸員(現・福井県立恐竜博物館=近くオープン予定)が「アロサウルス」と呼ばれる恐竜の足跡化石を県内で初めて見つけたことだった。この発見が県内の恐竜研究に対する機運を高め、大山町の大露頭の発見や大山恐竜展へとつながっていったことは間違いない。富山のアロ君は、富山県の恐竜研究のシンボルとも言えるものである。 アロ君を完全に復元すると、十bにもなる。自然史展示室全体の大きさから考えると、そのまま導入するわけにはいかない。「上半身だけにしようか」「シッポを切るか」さまざま意見が出たが、結局体全体を約八〇lに縮めようということになった。 恐竜の大きさや形は化石から推測できるとしても、声や皮膚の色については、ほとんど資料が得られない。現生のは虫類などから推測するしかなかった。「肉食竜が狩りをしやすい色は」と考えて焦げ茶色を選んだ。 「不確実なものは出さない方が――」という声もあったが、あえて大胆に推測し展示してみた。吉と出るか、凶と出るか。今後の研究にゆだねる以外ない。(赤羽久忠 2000年5月15日掲載) |
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