タケノコ食べるクマ再現
ブナ林のジオラマ (第46回)



  
   
   タケノコを食べるクマを再現したジオラマ
   
 科学文化センター自然史展示室のブナ林やコナラ林のジオラマには、ツキノワグマやカモシカがいる。季節は早春の設定だ。ユキツバキの花が咲き、富山でススタケと呼ぶチシマザサが生えている。

 クマは好物のススタケのタケノコを食べているポーズにした。ススタケをどのように食べるか文献にも出ていなかったので、富山市ファミリーパークにお願いして、飼育しているクマに皮のつたタケノコを与えてもらった。クマは足を投げ出し、地面にタケノコを手で押さえ口をタケノコに持っていって食べることが分かったのである。クマのポーズはこれで決定した。

 ススタケをとりにいくと、クマが食べたタケノコの皮が散らかり、大きなふんが落ちていることがよくあるので、ふんの模型を作ってもらうことにした。型用のふんを採集するため、知り合いの猟師さんに案内してもらった。山奥のがけの上の林にふんはあった。あたりは静かで、話し声がよく響く。ふんはいくつかあったが、新鮮なものを選んで写真を取り、形が崩れないように大きな菓子箱にそのまま入れた。採集が終わると一目散に帰ってきた。ふんは冷凍し、型どりして本物そっくりのレプリカを作ってもらった。

 寝そべって休んでいるカモシカの傍らにもふんの模型が置いてある。カモシカには一ヶ所にためてふんをする習性がある。そこで、再び富山市ファミリ−パークにお願いし、飼育されているカモシカのふんの塊を採集し、模型をつくってもらった。何回もふんをするため、下の方はカビが生え白くなっている。模型はカビの部分も再現された。

 ジオラマにはほかにノウサギ、タヌキ、テンなどがいて、土の断面にはヒミズというモグラの仲間もいる。野外では、ほ乳類にはめったに出会うことはないが、ここに来ると、間近に色々な動物のはく製をみることができる。(南部久男 2000年6月10日掲載)




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