同好会の協力に感謝
移動天文教室 (第62回)



  
   
   富山市内の小学校で開かれた移動天文教室
   
 「あれは何という星ですか。」とあるお母親が聞く。「この星が、こと座のベガ、七夕の織り姫星。こっちが彦星、わし座のアルタイルという星です。」と言いながらスタッフが懐中電灯の光でその星を指し示す。

 「するとこの3つの星が夏の大三角ですね。」とその星を指さしながら納得する人。別の所では「あっ、輪が見える」と天体望遠鏡をのぞき込んだ子供の歓声が上がる。毎年、夏休みを中心に行っている移動天文教室の一コマである。普段は天文台や科学文化センターで行っている天文教室を、希望した団体の希望する場所まで、スタッフが天体望遠鏡やその他器材持参で出かけて行う。この教室は、科学文化センターが出来るずっと以前の昭和30年代後半から、より多くの人や子供達が宇宙の姿に触れてほしいと始めたものだ。

 開催時は、学校のグランドや公園などに出かけ、そこで望遠鏡を組み立て解説の準備をする。あたりが暗くなるころ、子供たちや父母が集まって来る。教室が始まると、星や宇宙について解説し、望遠鏡で、惑星や星団などいろいろな天体を観察する。合間には、星座を解説したり質問に答えたりするが、参加者にとっても、実際に星を見ながらの説明は印象に残るようで、秋になってプラネタリウムの学習投映に来た子供たちに聞くと、夏にこの教室に参加した子は良く星座をおぼえている気がする。

 教室ではいつも天文アマチュアの同好会の人たちが積極的に手伝ってくれた。というより現在は同好会が主になって開催している。夏休みを中心に学校、PTA、児童クラブなど各団体から申し込みがあり、1回の参加者は平均70〜80名、多いときには200名以上になることもある。

人数の割に望遠鏡の数が少ないと、待ち時間が長くなってしまい、とても対応できない。こんなとき天文の知識があり、天体望遠鏡を操作できる天文同好会の人の協力が欠かせない。



(布村克志 2000年7月5日掲載)




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