天文台周辺は野鳥の園
観察コーナー (第66回)



  
   
   富山市天文台の野鳥観察コーナー
   
 科学文化センターの付属施設である富山市天文台は県民公園「野鳥の園」の一角に建てられている。「野鳥の園」は富山市三熊地区の農業用ため池、古洞池周囲の森林73ヘクタールの中にある。池の周りには5.7キロの遊歩道が整備され、四季折々に多くの人がバ−ドウオッチングに訪れる。天文台二階には「野鳥観察コ−ナ」が設けられており、野鳥の姿や声を見聞きできる。

 また、パソコンで「野鳥の園」の代表的な鳥を調べられる。双眼鏡やフイルドスコ−プが設置されており、庭にやってくる野鳥の姿や遠く立山連峰も臨むことができる。

 庭のバ−ドバスには、ヒヨドリ、シジュウガラ、ヤマガラ、メジロ、カケスなどが水飲みや水浴びにやってくる。メジロがバ−ドバスの縁に十羽程で身体を寄せ合って並ぶ様子はほほえましく、「メジロ押し」の言葉どおりである。庭の巣箱では、春にはシジュウガラが子育てする。古洞池の奥にはカワウのねぐらがあり、子育てもしており、朝には隊列を組んで河川へえさの魚を食べに出かけ、夕方には帰るのが見られる。冬には北国からマガモ、コガモ、トモエガモなどの水鳥が渡ってきて古洞池で羽を休めている。それらの水鳥と一緒に渡ってきた、羽を広げると二メートルもあるオジロワシの姿も見られる。

 天文台へは入口に車を止め八百メートル程歩くことになるが、途中で多くの野鳥や動植物が観察できる。池のほとりでは巣作りしているルリ色に輝く羽のカワセミに出会える。道端には大きな果実をぶら下げるオオバヤシャブシや寄生植物のナンバンギセルがピンク色の花を咲かせている。天文台の夜間観察会の行き帰りにはウサギがすぐ前を駆けて行き、雪の上にはタヌキやキツネの足跡も見られる。

 天文台へ来て素晴らしい自然も楽しんでほしい。

(大野豊 2000年7月11日掲載)




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