博士号目指す学芸員
共同研究と個別研究 (第95回)



  
   
   科学文化センターの共同研究と個別研究の報告書
   
 富山市科学文化センターは建設当初から、博物館の調査研究活動を大切にしている。

 研究には、博物館全体で一つの目標を持って取り組む「共同研究」と、学芸員がそれぞれの専門分野でのテーマに基づいた行う「個別研究」とがある。

 共同研究は、原則としてすべての学芸員が参加し、郷土の自然に関する調査をするものである。各学芸員はそれぞれのテーマに基づいた研究計画の基に研究を続けつつ、館全体として取り組むべきテーマを持つこと必要であると、われわれは考えてきた。

 どのようなテーマで、全体で何を目標に研究するのか?これには、科学文化センターの姿勢が現れているということができよう。

 今まで、「浜黒崎海岸の自然調査」「呉羽丘陵の自然」「有峰の自然」「いたち川の自然」を行い、現在は「里山の自然」について調査を行っている。

 これは郷土の博物館として富山の自然の歴史と現状をできるだけ把握し、そこにすむ動物や植物そして人間との関係をとらえ、記録しておく。そのことが、われわれの地球上で生活スタイルを考える上で必要であると考えているからである。これらの研究結果は、報告書として発表するほか、特別展や常設展でできるだけ市民に紹介してきた。

 一方、個別研究は、それぞれの学芸員が自分の専門領域の研究を行い、内外の研究者と交流することによって力量を高め、ひいては館全体のポテンシャルを高めようというものである。科学文化センターにおける個々の個別研究については5名の学芸員が博士号を取得し、さらに博士号を目指している学芸員も多い。

 共同研究と個別研究、両者が車の両輪のごとくバランスよく機能することにより、科学文化センター全体の研究レベルも上がり、展示や普及行事などもより魅力的なものになると信じている。(赤羽久忠 2000年8月28日掲載)




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