スマホ顕微鏡
スマートフォンやタブレットなどのカメラ付き端末に少し工夫を加えるだけで、顕微鏡カメラと同じような写真撮影や観察像の共有を実現することができます。モニターを見ながらグループでの観察に応用できるほか、インストールしたアプリケーションで拡大・縮小や画像編集までシームレスに行うことが可能です。「スマホ顕微鏡」という名前でも知られているこの方法について紹介します。
既存の顕微鏡を使う方法

レンズになる素材を固定する方法
ガラス玉などレンズになる素材をカメラに固定すると単焦点レンズのように使うことができます。これを応用したスマートフォン用のアダプターも市販もされています。レンズに使える素材は様々ですが、以下にいくつかの素材とその使い方を紹介します。いずれも、レンズの径が小さいほど高倍率になりますが、径が小さいほど扱いは難しくなります。
ボールレンズ
ガラスビーズ

使い方
【レンズの固定】ガラスビーズは小さく、そのままでは転がってしまうので、固定する部品が必要です。手っ取り早く作るには、厚紙に小さな穴をあけて挟む方法があります。また、レンズの径ほどの厚さの発泡ゴムシートを使う方法だと、穴をあけるだけでレンズを固定することができます。穴あけには、レンズ径より一回り小さなポンチを使うとうまくできます。

厚紙に挟んだレンズ(左)と発泡ゴムシートに埋めたレンズ(右)

【試料の置き方】観察したい材料はレンズの焦点が合う位置に置く必要があります。焦点がちょうど合う厚さのプラスチック板(透明なもの)を切ってプレパラートを作ると観察しやすくなります。通常のプレパラートを使う場合は、カバーガラス側をカメラに向けます(スライドガラスは厚いので焦点が合わない)。ペットボトルのキャップ部分などを使って焦点調節ができるように工夫することもできます。なお、強く押し付けるとガラスビーズでカメラのフィルタを傷つけてしまうので、気を付けて扱ってください。
ガラスビーズで撮影した作例
半球レンズ
ポリウレタン半球

使い方
市販品の平らな面にはフィルムと接着剤がついています。そのままカメラのレンズにくっつけても使えますが、像がぼやけるほか、カメラからはがすときにカメラ側のフィルターなどを壊してしまう可能性があります。そのため、フィルムと接着剤ははがしてから使うことをお勧めします。ポリウレタン半球の平らな面をカメラのレンズ部に押し付けるとしばらく引っ付いているので、指で少し押してくっつけた状態で使います。

ポリウレタン半球で撮影した作例
水滴

水滴で撮影した作例
画像出典:サイエンスカフェとやま
※このページは「2021年度 教員のための博物館の日」の資料として作成したものに加筆修正したものです。当日配布資料はリポジトリで公開しています。