スマホ顕微鏡

スマートフォンやタブレットなどのカメラ付き端末に少し工夫を加えるだけで、顕微鏡カメラと同じような写真撮影や観察像の共有を実現することができます。モニターを見ながらグループでの観察に応用できるほか、インストールしたアプリケーションで拡大・縮小や画像編集までシームレスに行うことが可能です。「スマホ顕微鏡」という名前でも知られているこの方法について紹介します。

既存の顕微鏡を使う方法

「コリメート法」と呼ばれる、顕微鏡などの接眼部にカメラを当てる方法です(望遠鏡でも同じ方法を使うことができます)。スマートフォンやタブレットに対応した専用の固定具も市販されています。うまく調節ができれば本格的な顕微鏡カメラにも匹敵する写真を撮影することができます。

レンズになる素材を固定する方法

ガラス玉などレンズになる素材をカメラに固定すると単焦点レンズのように使うことができます。これを応用したスマートフォン用のアダプターも市販もされています。レンズに使える素材は様々ですが、以下にいくつかの素材とその使い方を紹介します。いずれも、レンズの径が小さいほど高倍率になりますが、径が小さいほど扱いは難しくなります。

ボールレンズ

ガラスビーズ
顕微鏡で微生物を最初に観察したことで知られるレーウェンフック(1632-1723)は球形のガラスビーズをレンズとして使っていました。単純な構造ですが、100倍以上の観察像を得ることができます。ガラスビーズは、手芸素材、反射材、研磨剤、充填剤など様々な用途として市販されています。2~3 mmのビーズを使って透過顕微鏡(生物顕微鏡)と同じような観察像を得ることができます。インターネットなどで自作方法が紹介されている「スマホ顕微鏡」の多くがこのタイプで、スマホ顕微鏡用に教材屋さんなどで入手することもできます。
使い方
【レンズの固定】ガラスビーズは小さく、そのままでは転がってしまうので、固定する部品が必要です。手っ取り早く作るには、厚紙に小さな穴をあけて挟む方法があります。また、レンズの径ほどの厚さの発泡ゴムシートを使う方法だと、穴をあけるだけでレンズを固定することができます。穴あけには、レンズ径より一回り小さなポンチを使うとうまくできます。

厚紙に挟んだレンズ(左)と発泡ゴムシートに埋めたレンズ(右)
【照明】透過光で観察するので光源が必要です。 光源は点光源が望ましく、LED1投のスタンド照明があると便利です。 光源が複数あると像が複数見えてしまいます。 光源、ガラスビーズ、カメラは1直線に並ぶように配置します。
【試料の置き方】観察したい材料はレンズの焦点が合う位置に置く必要があります。焦点がちょうど合う厚さのプラスチック板(透明なもの)を切ってプレパラートを作ると観察しやすくなります。通常のプレパラートを使う場合は、カバーガラス側をカメラに向けます(スライドガラスは厚いので焦点が合わない)。ペットボトルのキャップ部分などを使って焦点調節ができるように工夫することもできます。なお、強く押し付けるとガラスビーズでカメラのフィルタを傷つけてしまうので、気を付けて扱ってください。
ガラスビーズで撮影した作例

半球レンズ

ポリウレタン半球
粘着剤付きクッション材としてホームセンターなどで市販されているポリウレタン半球を使います。直径6mmや8mmのものが市販されており、20~30倍の観察像を得ることができます。低倍で焦点距離も長いため、透過光でなくても観察できます。実態顕微鏡やルーペのような使い勝手で観察することが可能です。
使い方
市販品の平らな面にはフィルムと接着剤がついています。そのままカメラのレンズにくっつけても使えますが、像がぼやけるほか、カメラからはがすときにカメラ側のフィルターなどを壊してしまう可能性があります。そのため、フィルムと接着剤ははがしてから使うことをお勧めします。ポリウレタン半球の平らな面をカメラのレンズ部に押し付けるとしばらく引っ付いているので、指で少し押してくっつけた状態で使います。
ポリウレタン半球で撮影した作例
水滴
防水のスマートフォンであれば、カメラの部分に水滴をつけるだけでもレンズになります。流れたり風で動いたりするので使い勝手はよくありませんが、水さえあれば簡単に拡大写真を撮ることができます。水の代わりに粘性のあるグリセリンを使うとより容易に撮影ができます。
水滴で撮影した作例
画像出典:サイエンスカフェとやま
※このページは「2021年度 教員のための博物館の日」の資料として作成したものに加筆修正したものです。当日配布資料はリポジトリで公開しています。
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