富山には春のフェーン、冬の雪などさまざまな特徴的な気象現象がみられます。
富山の冬は曇りや雪の日が多く日照時間は1月には東京の1/3しかありません。
雪はひと冬で、合計すると平均400cm以上降ります。
しかし、最近13年間は暖冬傾向で降雪量は平均よりかなり少なくなっています。
ひと冬でもっとも多かったのは1945年の993cm、
もっとも少なかったのは1972年の96cmでした。
空一面に広がる雪雲
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冬、大陸の冷たい空気は日本海にやってくると、暖められ、海面からはさかんに水蒸気が蒸発します。それはたくわえられ、やがて雲になります。海上では逆転層におさえられ背の低かった雲が、本州の山にぶつかると、押し上げられ、背が高くなり、活動が活発になって雪が降ります。
いわゆる西高東低の気圧配置で等圧線がこみ、たてじまにならんでいるときは季節風が中部山岳に吹きつけて、山に雪が多く降る山雪になります
。日本海に低気圧があるなどして等圧線が西にふくらんでいるときは、海岸地方でも雪が多く降ることがあります。これが里雪です。
平野部に大雪をもたらすものには
収束雲(しゅうそくうん)、寒冷渦(かんれいうず)、小低気圧があげられます。
いずれの場合もにゅうどう雲、かみなり雲(積乱雲)などの背の高い雲をともない、
それらがたくさんの雪を降らせます。
朝鮮半島の北にある長白山系で北風は別れ、山系の風下で集まることによって風の収束線ができます。この線に沿って帯状の収束雲が発達します。収束雲の中には小さい渦巻きが数個並んでいて、そこでは背の高いにゅうどう雲やかみなり雲(積乱雲)が発達しています。この小さい渦巻きが通る地域で大雪になることがあります。
上空のジェット気流が大きく波を打ち、やがて切り離されると、中心に寒気を閉じ込めた低気圧、寒冷渦になります。寒冷渦は上空に強い寒気があり、また動きが遅いのが特徴です。寒冷渦がない寒気の吹き出しでは高度2km前後にある逆転層で、日本海上の積雲は頭をおさえられています。しかし、寒冷渦では大気は不安定な状態なので雲頂が6kmもあるにゅうどう雲やかみなり雲になります。このため寒冷渦がやってくると降雪が多くなります。また寒冷渦は動きが遅いため、降雪に好条件の日が何日も続き、豪雪になることがあります。
1963年1月の中下旬にかけて北陸地方にたくさんの雪が降り各地で雪害が起きました。豪雪のピークの頃、寒冷渦は大陸から南下しゆっくりと日本海を通っていきました。最深積雪は富山で186cm、伏木で225cmにも達しました。全国各地の被害をまとめると、死者・行方不明231名、住宅の全半壊6005棟、列車運休19500本におよびました。
富山では冬に光柱、たつまき、寄り回り波、そして春には蜃気楼と、
不思議な気象現象を見ることができます。
冬、富山湾方向の夜空に何本もの明るい光の柱を見ることがあります。これは光柱と呼ばれています。光柱は漁り火などの明るい光源の光が、うす雲(絹層雲)の中の小さな氷の結晶(氷晶)によって反射されてできるものです。
冬の風のないおだやかな日などに突然、高い波がおそってくることがあります。これが寄り回り波です。強い冬型の時、北海道の西海上で発生した大きな波は一日以上かかって富山湾にやってきます。富山湾は沿岸近くまで深い地形になっているため波のエネルギーはおとろえずに沿岸までやってきます。そして沿岸近くの浅いところで急に高い波となっておそってくるのです。
冬、富山湾ではかみなり雲の下に、ろうと状の雲「ろうと雲」のできることがあります。これが発達して水面にまでとどいたのが「たつまき」です。たつまきはかみなり雲の下で、地形などによって風が集まるところにできやすいと考えられています。
春、本当の景色の上に逆さの像ができる春の蜃気楼が現れることがあります。海上付近の冷たい空気と、その上の暖かい空気の境界付近を通る光が曲がることによってできるものです。蜃気楼はおもに4月〜5月の、暖かく、風の弱い日の午後に現れますが、富山では朝、やや強い南風が吹くときに現れることもあります。現れる回数は年に数回から二十数回までと年によってばらつきがあります。このばらつきはその年の蜃気楼出現期間の毎日の最高気温と平均風速との関わりが考えられ、最高気温が高くて風の弱い日が多い年にたくさん現れます。
富山市の海岸から見えた「しんきろう」
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