里山の自然

 

春の里山
−カタクリの咲く雑木林−

春、カタクリの咲く雑木林
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 里の桜が満開となる頃、山ではカタクリの花ざかりをむかえます。木々の若葉が展開する前は、林の下は光がよく入り明るくなっていて、カタクリやキクザキイチゲ、コシノコバイモなどが大急ぎで生長し、花にはギフチョウも訪れます。林内が暗くなるまでのわずか2ヶ月間だけ見られる動植物は、スプリング エフェメラル(春のはかなきもの)と呼ばれ、カタクリやギフチョウはその代表的な種です。カタクリは、木々が葉を広げる頃には実を結び、来年の春にそなえた栄養分を作り終えた葉はすでに枯れはじめています。

カタクリの花 
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ホクリクサンショウウオ
  ホクリクサンショウウオは、富山県や石川県の能登半島の丘陵にしかいない両生類で、環境庁の絶滅危惧種に指定されています。普段は林の落ち葉の下などで生活し、2〜3月頃雪解け水で潤う湿地へ繁殖のために集まってきます。卵は枯れ枝や落ち葉に産み付けられ、オスはしばらく卵のそばにいます。

ホクリクサンショウウオの雌(約12cm) (写真をクリックすると拡大できます)

 

 

秋の里山
−ドングリのなる雑木林−

秋の雑木林
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 秋の雑木林にはたくさんのドングリが落ちています。里山でドングリが実る木の代表はコナラやクヌギ、スダジイです。他にも足元でクリや丸くて大きなトチノキの実も見つかります。  栄養価の高いドングリは、厳しい冬を目前にした動物たちの大切な食料になっています。動物に食べられずに残ったドングリは、春に雪がとけると芽を出します。

ドングリ
 ドングリは、ブナ科の植物がつける実でかくと殻斗(ドングリの帽子と呼ばれている部分)をもつ木の実の総称です。ドングリはデンプン質に富んだ栄養豊富な種子で、種類によって形や大きさが違い、タンニン(苦い成分)が多いものから無いものまであります。

 雑木林で見つけたドングリ 
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冬の里山―多雪に生きる―

 動物は深い雪の中では自由に行動したり、自由にえさをとるとができません。そのため、冬眠したり、雪の中のわずかなエサをみつけ生活するなどさまざまな工夫や時には餓えをしのぎながら生きています。一方、植物は雪の下で寒さを防ぎ冬を越します。

 

冬眠するツキノワグマ
 ツキノワグマは、秋にブナやミズナラのどんぐりを大量に食べ、冬越しにそなえ脂肪を蓄えます。11月下旬から12月にかけスギの洞や岩穴に入り、翌春の4月中旬から5月まで冬越します。メスは、冬眠中に2頭の子を産みます。

 

雪の中で生活するカモシカ
 カモシカは、本州から九州に生息するウシ科の動物です。普通は単独で生活します。体格のわりには足が太く丈夫で、雪の中の生活も苦になりません。雪の中で小枝や冬芽を食べます。

雪の中、エサをとるカモシカ 
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真冬に木の皮をかじる
ニホンザル
 日本列島にすむニホンザルは世界でもっとも北に分布するサルです。富山県では、黒部峡谷等の東部の山地に群れで生活しています。雪が多い時期には木の皮をかじって餓えをしのぎます。

 

雪のかからない岩棚に
巣をつくるイヌワシ
 イヌワシは、日本では北海道から九州まで分布し、繁殖地は本州などの山岳地帯です。富山県では、黒部峡谷等の県東部を中心に生息しています。12〜1月は巣造りの季節で、雪深い渓谷の岩壁がひさしになり雪がかからない岩棚が選ばれます。2個の卵のうち先にかえったヒナだけが育ち、エサの豊富な春には巣立ちます。

 

雪に守られて生きる
ユキツバキ
 春、雪から解放されるとぱっと跳ね起きて、まもなく鮮やかな紅い花を咲かせる木があります。ユキツバキです。ユキツバキは、多雪地帯である、本州の日本海側の山地だけに生育します。毎年、3〜5mもの深い積雪の下敷きになって冬を越すので、幹は斜面にそって這うような形に変形しています。  一方、雪はすぐれた保温効果を持っているので、外気の温度が氷点下何度になっても、積雪の下はいつも0度に保たれます。ここで冬を越しているユキツバキは、意外にも暖かく過ごしているのです。


雪の中から起きあがる僧ヶ岳のユキツバキ(宇奈月町)
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ユキツバキの花 
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