富山の名水

 豊かな水に恵まれ、急峻な地形が多い富山県には、水によって作られた渓谷や谷、河川などのすばらしい景観、豊かな水を供給する井戸、そして、そこから出るおいしい水など、水に関係する様々な名所があります。 一方、水が豊かといわれる富山でも丘陵などでは比較的水に恵まれない場所もあり、古くから水田の水を確保するために作られた農業用水やため池、そして、人々の暮らしに必要な貴重な飲み水を提供した歴史のある井戸などもあります。しかし、現在では水道の発達や土地利用の変化など様々な原因で生活の中に深くかかわってきたこれらの水場が忘れされようとしています。 富山県が指定している富山の名水には、こんな富山の水に関わる様々な場所が指定されており、水景観を楽しみ、水を味わい、水と人との関わりの歴史を考えることができます。この中には、環境庁が全国名水百選の中に選んだ4ヶ所の名水も含まれています。あなたの身近にもあるこれらの名水を通して水と人との関わりを考えてみませんか。 さらに、県内にはこれらの指定された場所以外にもすばらしい水景観や歴史のある名水がたくさんあると思います。特に「名水」に指定されていなくても、好きな水景観や井戸、わき水があれば、それがあなたにとっても最も大切な名水といえるでしょう。


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おいしい水の条件

 おいしいと感じる水の条件は、水の汚れや水温、そして、溶けている主な成分の種類や量に関係しているようで、下の表のような条件があげられます。  ただし、飲み水の味は、飲む人の体の状態や、いつもどんな水を飲んでいるのかなどによっても違ってくるのでわないかと思われます。特に5から7の条件は個人差に関わる部分もあると思いますが、1から4は全ての人に共通していえるとおもいます。

1,水温は10〜14℃ほど。

20℃以上だと生ぬるく感じ、10℃以下になると味覚がにぶくなります。

2, pHが6〜6.8程の微酸性。

この微酸性になる原因は水に溶けている炭酸ガスによるもので、
これは、ごく薄い炭酸水と考えることもできます。

3,無色・無臭で変な味がしない。

これは当然のことといえます。

4,有機物がほとんどない水であること(CDO 0.5mg/l 以下)。

水中の有機物の起源はさまざまありますが、それが生活排水などの場合は、
病原菌に汚染されている可能性もでてくるので、安全な水とはいえなくなります。

5,塩化物イオンが低い(10mg/l 以下)。

塩分が多くなると塩気の味がするようになります。

6,蒸発残留物が低い(40-100mg/l)

7,硬度が低い (20-50mg/l)

これはカルシウムイオンの濃度に関係します。
硬度の低い水は軟水、高い水は硬水と呼ばれます。
硬水は石灰岩を多く含む地層から出る水に多く見られます。

8,鉄やマンガンがほとんどない(鉄 0.05mg/l以下、マンガン0.01mg/l以下)。

これらの成分は極微量でも入っていると金臭い水となります。
また、お茶を入れると茶渋がたくさん出ます。

 

富山のおいしい水

さて、地下水の水温は平均気温とよく似た温度となり、富山県の平野部は地下水をはぐくむ場所としてはよい温度条件となります。溶けている成分から見ると、黒部川扇状地の地下水や庄川扇状地の地下水など、源流域に、成分が比較的溶け出しにくい花こう岩の広がる河川の地下水がおいしい水の条件に当てはまるようです。また、富山市の水道水源に利用されている常西合口用水の水質もこの条件に当てはまります。これに対して常願寺川扇状地の地下水は地下に石灰岩の石が含まれるため、硬度がやや高くなります。

 

生地の共同洗い場*1

清水の里*1

穴谷の
霊水*1

立山玉殿の湧水*1

爪製清水*1

大泉水神社手水*2

水温(℃)

11.5 

11.2 

12.6  

2.7  

14.0 

15.0 

pH

6.4 

6.8 

6.1  

6.8 

6.3 

6.5 

硬度 (mg/l)

37.4 

34.4 

6.4  

12.4 

37.6  

98.5 

塩化物イオン (mg/l)

4.7 

2.3 

3.7(*3)

0.3(*3)

4.2(*3)

7.0 

蒸発残留物 (mg/l)

62.8 

51.8 

43.8  

27.8 

64.0  

- 

汚れCOD (mg/l)

0.2 

0.1 

0.1  

0.0  

0.3 

- 

*1:高倉(1990) *2:朴木(1998) *3:後藤ら(1991) による
 

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