富山県のコウモリ類

富山県に暮らすコウモリ類

日本では絶滅種を含めて39種、そのうち安定的に暮らすコウモリは34種が知られています(2023年11月現在)。富山県ではこれまでに県内外の研究者によって15種類のコウモリが確認されています。しかし多くの記録は20年以上前となっているため、現在はどんなコウモリが生息しているのか調査をしています。

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富山にくらすコウモリ一覧 
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上段左から:ウサギコウモリ、キクガシラコウモリ、ヒナコウモリ
下段左から:ユビナガコウモリ、ノレンコウモリ、テングコウモリ

コウモリってどんな動物?

コウモリは私たちと同じほ乳類の仲間で、翼手目というグループに属する動物を指します。世界中で1,300種以上が発見されています。現在までにほ乳類全体で約6,500種が確認されているので、ほ乳類の実に5分の1はコウモリなのです。

コウモリと翼

コウモリの前足(私たちの手)は、指の間に皮膜があり、翼になっています。そのため、ほ乳類の中で唯一、空を自由に飛翔することが出来ます。皮膜を大きくするため、第1指をのぞく4本の指がとても長くなっています。第1指は体を固定するために指本来の機能を保持し、爪もあります。 また、ムササビやモモンガといったほ乳類も空中を移動しますが、こちらは少し違います。詳細は と富山に暮らすリス・ネズミで解説します。

ヒナコウモリの前足(翼)の構造
ヒナコウモリの前足(翼)の構造
コウモリと超音波

コウモリは口や鼻から超音波とよばれる人には聞こえない音域(20KHz以上)の音を発し、はね返ってきた音を聞くことで空間を認知しています。これは「反響定位(エコーロケーション)」といわれ、コウモリ以外にもイルカなどもおこないます。この反響定位のお陰で、夜行性のコウモリはぶつかったりせずに暗闇を飛行することができます。

コウモリの反響定位(模式図)
コウモリの反響定位(模式図)

コウモリの調査方法

コウモリの調査にはいくつかの方法があります。ここでは実際に学芸員が行っている方法を紹介します。

1.音声調査

コウモリの出す超音波を探知、変換する「バットディテクター」という装置を使って鳴き声でコウモリを探します。

バットディテクター
バットディテクター

2.目視調査

コウモリが日中に休息していそうな場所を直接、探します。安全や土地を所有する方への許可などが必要です。また、可能な限りコウモリにストレスを与えないように必要最小限の調査にとどめ、過度な観察などは控えます。

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目視調査の様子

3.捕獲調査

コウモリを直接、捕獲して行います。私はコウモリ専用の捕獲道具「ハープトラップ」を使っています。また、捕獲には都道府県への許可申請が必要です。目視と同じく、可能な限りコウモリにストレスを与えないように捕獲後は速やかに計測などをして放獣します。

ハープトラップ調査の様子
ハープトラップ調査の様子

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この記事を書いたひと
清水海渡
担当:脊椎動物
小さいころから動物が好きで小学生の頃には毎週末バードウォッチングをしていました。高校生の頃に動物の好きな先生に出会い、野山で小さな哺乳類の調査をしたのがきっかけで虜になってしまいました。特にコウモリ・ネズミ・モグラといった小さな哺乳類が好きです。LINK: 学芸員の部屋
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