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富山県のニホンカモシカ

ニホンカモシカってってどんな動物?

鯨偶蹄目ウシ科に属する動物で、“シカ”と名前に付いていますが、ウシやヤギに近い動物です。日本の本州(京都府以東)、四国、九州に暮らす日本の固有種です。富山県のシンボル(県獣)にもなっています。

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ニホンカモシカ

カモシカは単独生活

カモシカは群れて生活することはほぼなく、1頭ずつ縄張りをもちます。縄張りは♂と♀では重なりますが、♂同士や♀同士では重なりません。オスの方が少し広く縄張りを持つ傾向があります。2頭一緒にいるのを見かける場合は、多くが親子で母親とこどもです。また、崖地などの斜面地を好むので、山地の斜面で出会うことが多い動物です。

縄張りの主張には、眼の下にある眼下腺を木の枝などに擦り付けて、縄張りを主張します。この眼下腺が目立つ個体は、まるで目が4つあるように見えることから、たまに新聞等を騒がせることもあります。

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ニホンカモシカの親子

かつては幻の動物

かつては、食料として、毛皮として利用され全国的に数を減らし、一時は深い山奥にのみ暮らす幻の動物と言われるほどでした。1934年には天然記念物に指定され、1955年には特別天然記念物に指定されました。現在では、全国で安定的な個体数を維持しています。富山県では山地を中心に近年では平地でも確認されることもあるほど、広く分布しています。

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道路脇のニホンカモシカ

関連する文献
  • かつては幻の動物 ニホンカモシカ
    とやまサイエンストピックス No.543 (2023年8月)
  • この記事を書いたひと
    清水海渡
    担当:脊椎動物
    小さいころから動物が好きで小学生の頃には毎週末バードウォッチングをしていました。高校生の頃に動物の好きな先生に出会い、野山で小さな哺乳類の調査をしたのがきっかけで虜になってしまいました。特にコウモリ・ネズミ・モグラといった小さな哺乳類が好きです。LINK: 学芸員の部屋
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