富山県のモグラ
富山県に暮らすモグラの仲間
モグラは地中生活に特化した哺乳類の仲間で、一生のほとんどを地中で過ごすため生きた姿を見たことがある方は少ないかもしれません。でも下の写真のようなモグラ塚はみたことあるのではないでしょうか。これはモグラが土を掘っていて、邪魔な土を地上に押し出したものです。その下にはモグラが暮らしています。
モグラ塚
モグラの種類
日本の本州、四国、九州、琉球列島に生息するモグラ科の動物は8種類、そのうち4種類が富山県で確認されています。富山県内で公園や畑などで地面を掘って、モグラ塚を作るのはアズマモグラです。アズマは東という意味で、主に東日本に暮らしています。 富山の中でも標高が1,000m近くあるブナ林の豊かな地域にはミズラモグラというモグラが暮らしています。このモグラは全国でも限られたブナ林のある地域にしかおらず、古い形質を持った世界的に見ても珍しいモグラです。 ちなみに、福井県~静岡県西部あたりから西にはコウベモグラという種が暮らしています。こちらは西日本に主に暮らすモグラでアズマモグラより一回り大きく、富山にはいません。また北海道にはモグラ科の動物はいまぜん。アズマモグラ
モグラの仲間なのにネズミ?-ジネズミとトガリネズミ-
富山をはじめ日本にはジネズミとトガリネズミという動物がいます。どちらも鼻先がとがったところなどから見た目がネズミに似ているのでこの名前が付きました。しかし、本当はモグラの仲間なのです。ネズミの仲間は堅い果実を食べるために、大きな門歯が1対ありますが、モグラの仲間で昆虫を主に食べるジネズミ、トガリネズミは門歯が小さく、大きな犬歯とギザギザの臼歯(奥歯)を持っています。
トガリネズミは北海道に4種、本州に2種が暮らし、ジネズミは本州に1種、琉球列島に2種、対馬に1種暮らしています。
オオアシトガリネズミ(北海道)
関連する文献
- 穴掘り名人 モグラ
とやまサイエンストピックス No.506 (2020年5月) - 砂浜海岸で観察されたモグラ類の坑道と塚
吉岡 翼 2023 富山市科学博物館研究報告 47巻 p.53ー56
この記事を書いたひと
清水海渡
担当:脊椎動物
小さいころから動物が好きで小学生の頃には毎週末バードウォッチングをしていました。高校生の頃に動物の好きな先生に出会い、野山で小さな哺乳類の調査をしたのがきっかけで虜になってしまいました。特にコウモリ・ネズミ・モグラといった小さな哺乳類が好きです。LINK: 学芸員の部屋