脊椎動物の標本
脊椎動物の標本について
脊椎動物とは「脊椎=背骨」がある動物群で、魚類、両生類(カエル・サンショウウオなど)、爬虫類(ヘビ・トカゲ・カメなど)、鳥類、哺乳類を指します。当博物館では、自然史、科学に関する多種多様な標本を収集して保存しており、ここではその中でも脊椎動物の標本について紹介します。
本剝製標本
主に爬虫類、鳥類、哺乳類の標本に使う方法で、その動物の生きていたときの姿形を復元し、毛皮、羽毛を残します。博物館で展示すること、本来のその動物の姿を見て学習することを主な目的とした標本です。生きている姿を復元するためには、専門的な技術が求められます。
収蔵されている鳥類本剝製
仮剝製標本
主に鳥類、哺乳類の標本に使う方法で、その動物の毛皮、羽毛を残します。博物館に収蔵して保存すること、研究に用いることを主な目的とした標本です。仮と付いていますが、標本としての重要度は他の標本と変わりません。一見すると伸ばした棒のようですが、計測や種類の同定に必要な部位が一目でわかり、スペースを極力取らない様に形作られた剝製標本です。
鳥類仮剥製の収蔵棚
骨格標本
脊椎動物全般に使う方法で、骨格だけの標本です。全身の骨を残す「全身骨格標本」、骨のつながりを全て組み上げる「交連骨格標本」、必要な部分だけを残す「部分骨格標本」等があります。例えば、哺乳類の中でもコウモリやネズミ、モグラなどの小さな哺乳類では歯の形や骨の形が種を決める根拠になるため、特に部分骨格の頭骨は重要な標本です。剝製や仮剥製と共に頭骨標本を残しておけば、より信頼性の高い標本になります。
液浸標本
主に魚類、両生類、爬虫類の標本に使う方法で、70%希釈アルコール水溶液や10%希釈ホルマリン 水溶液に資料を浸して保存します。特に、乾燥すると形質が変わってしまうものに用います。資料は一度液につけると形が固定されるため、種の同定に必要な部位などがわかるように形を整えて保存します。特に魚類ではヒレの形や筋の本数が必要なこともあるので、この作業が重要です。
液浸標本収蔵庫の様子
液浸標本の例
関連する文献
- 展示紹介 ツチクジラ
とやまサイエンストピックス No.391 (2010年9月)