富山に暮らすツキノワグマ
富山県に暮らすクマ ツキノワグマ
富山県に暮らすクマは、ツキノワグマです。胸部に白い三日月模様があることから名前が付きました。本種は千葉県をのぞく本州と四国に生息しています。九州では1957年の記録を最後に絶滅したと考えられています。富山県をはじめとした北陸地域や東北地域では豊かな森林があるおかげか、比較的安定的に生息しています。しかし、紀伊半島、四国、関東地方の東京都や神奈川県では生息頭数が限られており、絶滅危惧種に指定されています。
ツキノワグマの一年
ツキノワグマの一年を簡単にご紹介します。春は冬眠から目覚める季節です。マコモダケやミズバショウなどの山菜やブナの花などをたくさん食べて冬眠で痩せた体を戻していきます。生まれた仔グマにとっては初めての外の世界です。夏になるとヤマザクラの実などと同時にアリやハチなどの昆虫も食べます。秋になると冬眠の準備の季節です。実成の季節なのでブナやミズナラといったドングリをはじめ、たくさんの木の実を食べます。冬になると冬眠の季節。木の根元や岩の隙間、洞窟などで冬眠します。夏の間に妊娠した母グマは、冬眠中に出産、授乳をします。
ツキノワグマの一年
ツキノワグマの親子
ツキノワグマは母グマが子育てをします。1~3頭の仔グマを冬眠中に出産し、その後、翌年の夏まで、長いときには2年ほど一緒に暮らします。親子間では、頻繁に鳴き声を交わしたりコミュニケーションをしています。ただし、親子でいるときは母グマは仔グマを守るために警戒していますので、決して近づかないでください。
ツキノワグマの親子
ツキノワグマの痕跡-樹皮はぎ-
初夏から初秋にかけて、山の中で樹皮を剥がされた樹を見かけることがあります。これはクマが樹の形成層とよばれる生きた組織の柔らかい部分を食べるために、樹皮を剥いだ後です。よく見ると、形成層をかじった犬歯の痕や剥ぐために力を入れた爪痕などがわかります。
樹皮はぎの痕 撮影:2023年6月9日
ツキノワグマの好きなドングリ類
ツキノワグマは主に植物食です。春は新芽やたけのこ、初夏はサクラ類などの果実と四季折々で様々な植物を食べます。中でも冬眠前の秋になると栄養価の高いドングリの仲間を好んで食べます。富山では主にブナとミズナラの2種を食べることが知られています。
関連する文献
- 富山に暮らすツキノワグマ
とやまサイエンストピックス No.535 (2022年10月) - とやまの森にすむツキノワグマ -旬の食物を食べる-
後藤優介 2015 とやまと自然 38 秋の号(通算151号)