富山県の鳥類
鳥ってどんな動物?
皆さん鳥といえばこんな姿というのは想像できますか。身近にくらすスズメやカラス、ハトなどを想像してもらえると良いと思います。春先になると「ホーホケキョッ」と良い声でなくウグイスなども知っている方も多いと思います。鳥という動物には4つの定義があります。①クチバシをもつこと、②全身が羽毛で覆われていること、③前肢が翼になっていること、④堅い殻をもった卵を産むことの4つの特徴をもちます。
クチバシ
鳥は食べ物を獲得するためにクチバシを多様に変化させました。たとえば、小さな穀物を食べるスズメは小さくて太く、堅い穀物をつまんで食べやすい形状になっています。水中に生える水草を食べるカモの仲間は水草を挟みやすいようにトングのような平べったい形に、水中の魚やエビを捕まえて食べるサギやカワセミ等は菜箸のように細長い形状に、他の鳥やネズミを襲って食べるタカなどは先端がとがっていて肉を引きちぎりやすい形状に、堅い木の実を好んで食べるイカルは堅い殻を割るために太く短い形状になっています。それぞれ、食べ物に合わせて最適な形に変化していきました。他にもくちばしには、強風などで乱れた羽根を整えたり、外敵をつついて攻撃したりするなど、私たちの手のような役割も担っています。
羽根
羽根には、板状の形でしっかりとした芯である羽軸とその両側に生える羽弁からなる正羽と、芯が柔らかくふわふわとした綿羽の2種類があります。正羽と綿羽はそれぞれ役割が違います。正羽は翼を構成する風切り羽、飛行する際の舵やブレーキの役割を担う尾羽など、主に風を受ける羽根です。それに対し綿羽は体温を保つための羽で、正羽の根元あたりに生えています。また、飛行するために必要な多くのエネルギーを代謝するためには、体温を保つ必要があるため、羽根は保温の役割も担います。
鳥の翼
鳥は前肢を翼に変化させることで飛行能力を手に入れました。この翼を上下に動かし、羽ばたくことで体を浮き上がらせ、前に進み、浮かび、飛んでいます。飛ぶ仕組みについては現在も研究が進められていますが、大きくは以下の2つと考えられています。一つは空気を押し上げることで体を浮き上がらせる力、もうひとつは翼が空気を受けたとき、空気の流れが翼の上では速くなり、下では遅くなるため、圧力の差が生まれて上へ押し上げる力ができることです。
鳥の卵
鳥の仲間は卵を産んで子孫を増やします。鳥は空を飛ぶために、可能な限り体重を軽くするように進化してきました。卵を産むことでメスの体から早く外に出すことができ、体重が重すぎて飛べなくなることを防いでいます。卵は堅い炭酸カルシウムでできた殻におおわれることで乾燥から守られ、外敵からも守られています。
鳥の種類数
世界中で確認されている鳥類の種数は国際鳥類会議(IOC)によって10,933種(2023年3月)と報告されています。私たちヒトを含む哺乳類の確認種数は約6,500種と、鳥は哺乳類の2倍近い種数が確認されています。日本で確認されている鳥類は日本鳥学会によって633種(2012年発表)となっておりますが、2023年に更新予定です。富山県では過去、県内外の研究者や愛鳥家によって鳥類が調査され、356種(外来種を含むと361種)の鳥類が確認されています。しかし、この種数はあくまで公開されている文献をまとめたもので、もっと多くの種が確認されていると思います。
富山の鳥類
前述のとおり、富山県では356種の鳥が確認されています。富山県は立山に代表される高山地から、富山湾の海面まで標高差が大きく、そのなかには高山帯から平地まで、湖や池、森林、草原、畑地など多様な環境があります。また、日本海側で中国大陸や東南アジアから鳥が移動するルートとして立ち寄ることもあり、これらのおかげで多くの鳥の生息が確認されているのだと考えられています。
関連する文献
- 富山県の鳥類目録
清水海渡・高畑晃 2023 富山市科学博物館研究報告 47号 109 - 111p -
展示がもっと面白くなる!鳥の秘密・富山の鳥-減った鳥・増えた鳥-
清水海渡・高畑晃 2023 とやまと自然 181号