No.535 富山に暮らすツキノワグマ

とやまサイエンストピックス No.535 (2022年10月)
発行日:2022/10/1
富山県では毎年、秋になるとニュースで話題になるクマ。どうしても恐いイメージをもつことがあるかもしれませんが、多くのクマは、ふだん富山の山々でひっそりと暮らしています。そんなクマについて紹介します。

ツキノワグマってどんな動物?

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図1 胸にある三日月模様
富山に暮らすクマはツキノワグマです。このクマは日本国内では本州と四国に暮らしています。昔は九州にもいましたが、残念ながら60年ほど前にいなくなったと考えられています。名前は胸の部分に白い三日月模様があることからついたものです。黒い毛でおおわれ、大人のクマは大きさ100~150㎝、体重50~100 kgほどになります。

ツキノワグマは何を食べる?

鹿島34mパラボラアンテナ
図2 ミズキの実を食べるクマ
ツキノワグマは季節によっていろいろなものを食べます。春は、たけのこやブナの花、アザミやミズバショウの芽など主に山菜を食べます。夏になるとサクラやミズキの実のほか、木々の樹皮を剥がして柔らかい部分を食べたり、地面にいるアリなどを食べたりします。秋はミズナラやブナなどのドングリを主に食べます。秋は冬眠に備える時期なので、一日の大半を食べる時間にあてて、もりもりとたくさん食べます。

秋になるとニュースになるのはなぜ?

冬眠前には、栄養をつけようとミズナラやブナの実をたくさん食べるのですが、植物の実はたくさんできる豊作の年と少ない凶作の年があります。実が少ない年には食べ物を探し求めて、山から人のいるところにまでおりてくることがあります。そして家の庭にあるカキなどの実を食べにきている時に、突然人と出会うとクマは驚いて人を攻撃してしまうことがあります。こういった事故を減らすために、富山県では不要なカキの木は切るように持ち主にすすめています。
クマがいることは豊かな自然が山々に残っている証ですが、同時に課題もあるのです。クマと人が共に暮らしていくためにどうしたら良いのか、ぜひみなさんも考えてみてください。

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