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No.539 電子基準点 -24時間連続で地表面の動きを監視-

とやまサイエンストピックス No.539 (2023年2月)
発行日:2023/2/1
みなさんは「電子基準点」を知っていますか?電子基準点は地表面のわずかな動きを逃さず私たちに教えてくれます。主に高さ約5mのステンレスの柱でできていて、柱の位置を正確に計測するために設置されています(図1)。柱の一番上のアンテナでGPS衛星からの電波を受信し、そのデータは24時間連続で国土地理院(土地の測量や地図の作成などを行っている国の機関)に送られて解析されています。
電子基準点は日本全国に約20kmごとに約1300ヶ所設置されています。富士山の山頂や日本最南端の沖ノ鳥島にも設置されています。富山県内では射水市立東明小学校や富山市の旧猪谷小学校のグラウンドなど15ヶ所に設置されています(2022年11月現在)。
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)では、宮城県石巻市の電子基準点が水平方向に東南東へ約5.3m動き、上下方向に約1.2m沈んだことが分かりました。また、2020年から能登半島で地震がたびたび起きていますが、この地震では石川県珠洲市の電子基準点が、これまでに南南東に約1cm動き、また、約4cm隆起していることが分かりました。
電子基準点から送られた位置の正確なデータは、地表面の動きを解析し、地震発生の原因やメカニズムなどを明らかにするための研究に役立てられています。
 
東明小基準点
図1 東明小学校の電子基準点
GPSアンテナ
図2 てっぺんの丸いカバーの中に
  GPSアンテナがあります。
 
 

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