No.525 空を飛ぶ!?ムササビ
とやまサイエンストピックス No.525 (2021年12月)
発行日:2021/12/1
発行日:2021/12/1
みなさんは、ムササビを知っていますか?名前は聞いたことがあるけれど、見たことはない人が多いかもしれません。でも、実は意外と私たちの近くに暮らしています。
ムササビってどんな動物?
ムササビはリスの仲間で、日本にすむリス・ネズミの仲間の中で最も大きくなる種類です。大きさは頭から尾の先まで約80cmもあります。植物を食べ木の葉や花、実が主なえさです。夜行性で昼間は木にあいた穴「樹洞」などで寝ており、日の入りから30分くらいして薄暗くなると活動を始めます。一生のほとんどを木の上で生活します。前脚と後脚の間、後脚と尾の間に皮で出来た膜(皮膜)をもち、そこで風を受けて木から木へ遠くまでジャンプする滑空飛行ができるように進化しました。
滑空飛行のひみつ
ムササビは鋭い爪でするすると木を登り、木の先からジャンプし、全身の皮膜をひろげて風を受けて滑空します。普段は数十メートル程度ですが、最大で120mほど滑空した記録もあります。滑空するムササビの姿はまるで、座布団が飛んでいるようで、また江戸時代には、飛ぶ姿が「襖」に似ていたことから「野ぶすま」と呼ばれていました。
長い距離を自在に滑空飛行をするための秘密は、手首にある「針状軟骨」という骨にあります。この骨があるお陰で、皮膜をピンと張り、さらに手首をひねることで空中で方向転換をすることもできるのです。富山市内でも呉羽丘陵と隣接する富山市ファミリーパークの園内に野生のムササビがすんでいます。観察会などの機会があれば、ぜひ会いに行ってみてください。
(清水 海渡)