No.551 火星が接近中!
とやまサイエンストピックス No.551 (2024年12月)
発行日:2024/12/1
発行日:2024/12/1
この冬は、宵の空で金星、火星、木星、土星といった太陽系の惑星たちがいくつも見えています。その中でも、2025年1月12日に地球との距離が最も近くなる火星についてご紹介します。
火星はどんな星?
火星は太陽系の惑星の一つで、地球の外側を回っています。火星の直径は地球の約半分で、質量はおよそ10分の1です。さびた鉄を多く含んだ赤茶色の地面のため、赤っぽく見えます。また、ところどころ黒っぽく見える模様や、北極・南極付近にあり水や二酸化炭素の氷のために白っぽく見える「極冠」があります(図1)。
約2年2か月ごとに火星と地球は近づく!
火星は地球よりも外側の軌道を回っているため、太陽のまわりを一周するのに地球よりも時間がかかることから(687日で一周)、地球は約2年2か月ごとに火星を追い越します。この時に地球と火星の距離が最も近くなり、火星が明るく見えます。望遠鏡で見たときの大きさも大きくなるため、観察にむいている時期となります。
なお火星の公転軌道は楕円形で、最接近時の火星と地球の距離は毎回同じではないため(図2)、今回の最接近時の見た目の大きさは、「大」接近だった2018年の半分ちょっとくらいしかありません。
それでも、今回の最接近の頃の火星の明るさはマイナス1.4等級で、星座の星の中で最も明るいおおいぬ座のシリウスとほぼ同じ明るさです。また、望遠鏡を使えば表面の模様や極冠も観察することができます(※)。宵の東の空で明るい冬の星々に負けず明るく輝いていますから、ぜひとも実際の空で火星を観察してみてください。
(宮野 彩)
※火星接近時でも、火星で大規模な砂嵐が起きると模様がほとんど見えないことがあります。