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No.542 富山でも発見された外来種 シタベニハゴロモ

シタベニハゴロモってどんな昆虫?

シタベニハゴロモは、前翅の長さが4~5cmのカメムシの一種です(図1)。前翅の色は主に灰色で地味ですが、後翅には鮮やかな赤色の部分があり、とても目立ちます(図2)。この昆虫は、70種以上の植物の汁を吸い、甘露という甘くてねばねばした液を腹部の先からたくさん出します。甘露が植物の葉に付くと、甘露からカビが生えて葉を覆い、植物が弱ったり、果物では汚れて売り物にならなくなったりします。そのため、人間にとっては少々困った昆虫です。
生体
図1 シタベニハゴロモ※1
標本
図2 富山県産シタベニハゴロモの標本

シタベニハゴロモは外来種!

この昆虫は、もともと中国などにすんでいましたが、人間の荷物などに付いて運ばれ、韓国やアメリカにもすむようになりました。日本でも、2009年に石川県で初めて見つかり、2022年までに中部、近畿、中国地方に広がっています。

富山県でも2022年に見つかる

2022年、呉羽丘陵や富山市西笹津で、道路沿いや公園内のニワウルシ(図3)から、複数の成虫に加え、卵塊(図4)や幼虫も見つかりました※2。卵塊や幼虫が見つかったため、すでに富山県にもすみついていると考えられます。今後、県内の他の場所でも見つかるかもしれないので、しっかり調べる必要があります。
ニワウルシ
図3 ニワウルシ
卵塊
図4 シタベニハゴロモの卵塊※1  
※1 図1と4は石川県立自然史資料館の嶋田敬介氏提供。
※2 出典論文:Suzuki, R. & K. Shimada, 2023. A new record of the invasive alien species Lycorma delicatula (Hemiptera: Fulgoridae) in Toyama Prefecture, Japan. 昆蟲ニューシリーズ, 26: 21–24.

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