No.531 絶滅危惧種のカワゴケを増やす
とやまサイエンストピックス No.531 (2022年6月)
発行日:2022/6/1
発行日:2022/6/1
カワゴケは、名前のとおり、川に生えるコケ植物です。コケ植物は小さい種類が多いのですが、カワゴケは長さが30cm以上にもなる大きな種類です。全国各地で減り続けており、近い将来に絶滅するかもしれないことから、絶滅危惧種に指定されています。富山県内では、県西部の平地のわき水や井戸水が流れる川でのみ見つかり、生育地は限られていることがわかっています。
カワゴケが減り続けている川があります(図2のG~J川)。2003年は生育区間の合計の長さが約3.45kmでしたが、2008年は約2.15km、2021年には約0.17 kmに減りました。カワゴケとともに、水草のバイカモ(図3)もたくさん生えていましたが、近年、外来種のコカナダモ(図4)が増え、バイカモも減りました。カワゴケとバイカモが多い川に戻したいという思いから、2020年にG川の約100mの区間でコカナダモを取りのぞくと、残っていたバイカモが増えました。その場所ではカワゴケは生育しなくなっていたので、2021年に近くの水路からカワゴケを移植すると、根づいて増えました。移植が可能であることが分かった、うれしい結果でした。今年は移植地を増やそうと考えています。
(坂井奈緒子)