No.547 展示紹介 クックソニア

とやまサイエンストピックス No.547 (2024年4月)
発行日:2024/4/1
みなさんは、現在の植物の祖先がどんな形をしていたか知っていますか? 1階展示室「とやま・時間のたび」に入ると、左奥の「35億年の生命史」コーナーに不思議な形をしたものが見つかります(下図)。これはクックソニアという初期の陸上植物の復元模型で、古生代シルル紀(約4億3000万年)〜デボン紀(約3億9000万年前)に生育していました。クックソニアの化石はイギリスで初めて発見され、その後、北アメリカやブラジル、チェコなど世界各地で発見されています。
クックソニアの高さは数センチメートルで、河口付近の湿った場所に生育していたと考えられています。クックソニアには葉がなく、二叉に分かれた細長い茎の先に、丸いまたはラッパのような形をした胞子嚢(胞子が入った袋)をもっていました。胞子とは子孫を増やすための種のような役目のものです。
クックソニアは水中の藻類から進化したと考えられています。植物が水中から陸上へと進出するためには、乾燥に耐える体にならなければなりません。クックソニアの茎と胞子嚢の表層にはクチクラ層という、ロウ質(ろうそくのロウのような成分)の層があり、体から水分が蒸発するのを防いでいました。茎は水を通す管をもち、表面には呼吸や水分調整のための気孔という小さな穴がありました。
 
クックソニア
クックソニアの復元模型
 
 

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