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No.550 立山で増えている外来植物 アライドツメクサ

とやまサイエンストピックス No.550 (2024年10月)
発行日:2024/10/1
 
アライドツメクサ
図1 道路脇の溝の壁についているアライドツメクサ
(◯で囲んだ部分)立山天狗平国見駐車場付近.
アライドツメクサという外来植物が、立山で密かに増えています。この植物は、ヨーロッパと北アジアが原産で、高さ1cmほどのコケのような姿をしています。花は4枚のがく片を水平に開き、花びらはなく、中心に壺のような形の実をつけるのが特徴です。立山の高山帯の寒さも平気で、アスファルトの割れ目やコンクリートの継ぎ目などで生長し、夏に大量の種子をちらします。
 
花と果実
図2 アライドツメクサの花と果実(花の直径は約5mm)
国内では北海道と本州の所々に生育しており、富山県内では1988年に富山市街で記録されています。その後、街の中ではあまり広がってはいませんが、立山では、2007年に天狗平の国見駐車場で見つかって以降、弥陀ヶ原から室堂平にかけての駐車場や車道脇の溝などで次々に発見されています。
荒れた地面から高山植物がぽつぽつと育ち始めた所に、アライドツメクサが先にマット状に広がってしまうと、自然の回復が遅れることが心配されます。今のうちに除去しておきたいところですが、小さくて見つけにくい上に、仮に掘り取っても土の中に残っている小さな種子からまた出てくるのでやっかいです。近い将来、立山だけでなく、種子が山を下って称名滝や常願寺川周辺などにも広がるかも知れません。
人間が利用し続ける土地には必ず外来植物が入ってきます。在来の生態系に影響がおよばないよう、様々な方面に気を配って行動することが大切です。

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