No.548 富山にもすみつく? クマゼミ
とやまサイエンストピックス No.548 (2024年6月)
発行日:2024/6/1
発行日:2024/6/1
クマゼミはどんな昆虫?

クマゼミは、体長45~52mmの大きなセミです(図1)。シャーシャーと大きな声で午前中によく鳴きます。主に西日本にすみ、本州の神奈川県平塚市より西側、福井県越前町付近より南側の地域で見られますが、クマゼミ自身の力で遠くまで飛んで行ったり、人間の荷物に付いて運ばれたりして、これより東側や北側で見つかることもあります。
福井県より北側の北陸地方でも見つかっている
北陸では、福井県より北側の石川、富山、新潟の3県すべてで見つかっています。その多くは、1~数頭のオスの成虫が1回だけ見つかったという記録なので、石川県、富山県、新潟県ですみついている場所はほとんどないと思われます。ただし1か所だけ、石川県金沢市の石川県庁では、20年ほど前に九州から運ばれた植木に付いてきた個体の子孫がすみついています。
富山県にもすみつく?

県内では高岡市、富山市、魚津市の計16地点で見つかっています。ほとんどの記録は、富山湾の近くか、富山市内の平野部で、オスの成虫1~2頭が1回だけ見つかったものなので、今のところ県内ですみついている場所はなさそうです。ただし、富山市つばめ野では、2023年に道路わきの植木で抜け殻10個と鳴き声が確認されました。抜け殻(図2)の発見は県内初です。植木で見つかったので、石川県庁のように人間によって運ばれてきたものかもしれません。クマゼミは卵が成虫になるまで約9年かかるので、10年ほど繰り返し抜け殻が見つかれば、富山にすみついたといえます。すみつくか、これから毎年調べたいと思います!
(岩田 朋文)