No.534 外来植物ってなに?

とやまサイエンストピックス No.534 (2022年9月)
発行日:2022/8/1
セイタカアワダチソウ
神通川に群生するセイタカアワダチソウ
外来植物とは、セイヨウタンポポやセイタカアワダチソウのように、もともと日本にはなかった植物で、人間が外国から運んできた種や株が成長し、国内で増えたものをいいます。したがって、ハクチョウやカモなどの渡り鳥の体にくっついて、まれに日本にやってくる植物は、外来植物にはなりません。
花
池の水をぬくと現れた外来種の巨大魚!のようなインパクトは外来植物にはありませんが、中には、すでに人里にまんべんなく広がり、季節の彩りまで塗り変えてしまったものもあります。たとえば、春の公園や道端では、群生したオオイヌノフグリの花でコバルトブルーに染まる時期があったり、クローバーの白い花で埋めつくされたりするときがあります。また、初夏の堤防は、オオキンケイギクやブタナの花で黄色に染まります。人里は、外来植物が増えやすい環境なのです。
さらに山の林でも、巨大な外来植物が増えています。たけのこがとれるモウソウチクです。モウソウチクは、昔は家の材料や道具を作るための竹として、山によく植えられていましたが、今では人が手入れをしなくなり、周りに広がって、ほかの植物に日光があたらないようにしています。
  自然の中では、どの生き物も増えすぎたり減りすぎたりしないようにバランスがとれています。外来植物が増えた場所では、日本の植物(在来植物)が生長できなくなっており、絶滅しそうになっているものもあります。私たちの知らないところで在来植物を食べていた昆虫や、それらを栄養としていた微生物も減っているかもしれません。自然のバランスが急にくずれると、元からいた生き物は生きていくのがむずかしくなってしまいます。
外来植物が増えてしまった状態を元の在来植物だけの状態に戻すことはまず不可能です。私たちは、外来植物が少しでも広がらないように気をつけていきたいものです。そのために私たちができることは、まず外来植物を知ることです。私は、人を集めた行事では外来植物を観察材料として使い、身近な話として伝えていこうと思っています。

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