No.533 一方向の力だけを伝えるしくみ ラチェット
とやまサイエンストピックス No.533 (2022年8月)
発行日:2022/8/1
発行日:2022/8/1
自転車に乗ってペダルをこぐと、足の力が後ろのタイヤに伝わって、自転車が前に進みます。(図1)でも、ペダルを逆回ししても後ろに進みません。なぜでしょう。
そのヒミツは、後輪の軸に組み込まれている「ラチェット」というしくみにあります。自転車のラチェットは図2のように、内側がギザギザしたつつ形の部品(チェーン側)と、ツメのついた円柱状の部品(タイヤの軸)が組み合わされています。チェーンが右回りに回ると、ギザギザにツメがひっかかりタイヤの軸も回ります。しかし、逆回りするとツメが倒されるためかみ合わず、タイヤの軸は回りません。
このラチェットがあるおかげで、ペダルをこぐのをやめても、自転車はそのまま前に進みます。もしラチェットが無ければ、自転車が走っている限りタイヤとペダルが一緒に動くので、下り坂でも足を止めることはできません。ラチェットは、自転車を快適な乗り物にする働きをしているのです。
科学博物館で7月16日から9月4日まで開催の特別展「英国カラクリ人形」では約40点のからくり人形を展示します。自分で動かし、仕組みを見ることもできます。その中には、このラチェットの仕組みをうまく使った作品もあるので、ぜひ見に来てください。
(市川真史)