No.552 使い捨てカイロのしくみ

とやまサイエンストピックス No.552 (2025年2月)
発行日:2025/2/1
寒い季節に欠かせないものといえば…そう、「使い捨てカイロ」です。袋から出すだけで、かじかんだ手を温めたり、服に貼って冷えを抑えたりできる優れものです。ところで、なぜカイロは温かくなるのでしょうか?
 

鉄はさびると熱くなる?

さび
図1. 公園のジャングルジム。一部がさびています。
身の回りの鉄製品を観察すると、赤茶色にさびた部分があることに気が付きます(図1)。空気にさらされている鉄は、空気中の酸素と結びつきます。これは鉄の酸化という化学反応です。この反応が起きるときには熱が発生しますが、さびた鉄を触って熱いと感じたことはありませんよね。通常、この反応はゆっくり進むので、熱はすぐに逃げて冷めてしまいます。しかし、いくつかの材料を組み合わせると、酸化反応を速めることができます。
 

カイロにかかせない材料

地球と火星
図2. カイロの中身。黒い粉がたくさん入っている
ことが入っていることが分かります。
(内袋をやぶると非常に熱くなります。
大人の人と一緒に実験しましょう。)
カイロの中身を見てみましょう。不織布の袋に、鉄粉、水、塩類、活性炭、バーミキュライトが入っています(図2)。それぞれの役割を紹介します。
  • 不織布の袋…小さな穴が開いており、空気(酸素)を少しずつ取り込む。
  • 鉄粉…表面積が大きく、酸素との反応部分が増える。
  • 水と塩類…鉄表面のさびる速度を速める。
  • 活性炭…隙間に空気をためて、鉄に新しい酸素を送る。
  • バーミキュライト…水を蓄えて、鉄粉が水で固まらないようにする。
これらの材料があることで鉄の酸化が一気に進み、温かくなります。
まだまだ寒い日が続きます。鉄の酸化熱を利用して、寒い冬を乗り越えましょう!
 

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