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No.520 砂浜の貝殻はどこからやってくる?

砂浜で足元に目を向けると、いろいろな貝殻が打ち上っていることに気が付きます。特に海が荒れた後には浜の高い位置に貝殻が帯状に集まっていることがあります。この貝殻はいったいどこからやってきたのでしょう。
富山の砂浜で一番多く見つかるのはヒメカノコアサリという 1 cm 弱の二枚貝です。小さくて目立ちませんが、波打ち際が白く縁取られるようにたくさん打ち上っていることもあります。マツヤマワスレという、殻につやのあるきれいな二枚貝もよく見かけます。たくさん見つかる貝殻の多くは砂地の浅い海底にすんでいる貝で、砂浜のすぐ近くから波の力によって運ばれてきたものです。このほかにもカキやイガイの仲間など、岩場にすんでいる貝が目につくこともあります。岩場が近くにない場所でも、コンクリートでできた護岸や離岸堤があると、本来岩場にすむ貝が打ち上がります。
砂浜で見つかる貝殻は近くの海にすんでいる貝だけではありません。巻貝のような貝殻を作るアオイガイはタコの仲間で、日本からは遠い南の暖かい海にすんでいますが、海流に乗って運ばれ、秋から冬にかけて日本海沿岸に打ち上がります。台風シーズンや田植えの時期には、カワニナなど川から流されてきた淡水の貝やカタツムリのような陸上にすむ貝もよく見かけます。また、海の貝でも食用となるものは人が捨てた貝殻も混ざることがあります。
砂浜の貝殻の種類や季節の変化を見ていると、目の前の海の様子だけでなく、大きな海流の動きや陸の様子、人の活動までもが見えてきます。

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